バリエーションの増えないCore 2 Quad
いまだに65nm品が主流のCeleron
その一方ハイパフォーマンス向けでは、TDP(熱設計時消費電力)を44Wまで引き上げたCPUを、「Core 2 Extreme」として投入していたが、こちらはデスクトップ用と違い、長らくデュアルコアのみだった。2008年になって、ようやくクアッドコアの「Core 2 Extreme QX9300」が投入されたが、動作周波数が2.53GHzと、低いままに抑えられている。やはり44Wという枠でクアッドコアは、なかなかに難しいという事であろう(デスクトップは95W)。
面白いのは、モバイル向けクアッドコアの投入は、デスクトップ向けのクアッドコアCPUである「Kentsfield」と同じく、エンスージアスト向けの「Extreme」が先行し、それより一段下のハイパフォーマンス向けは、投入がやや遅れたことだ。「Core 2 Quad Q9000」は2008年12月、「Q9100」は2009年1月にようやく投入され、動作周波数も2~2.26GHzと低めだ。よほどマルチスレッド化されたアプリケーションでも投入しない限り、クアッドコアにはあまりメリットはないという事であろうか?
次にバリューセグメント向けのCeleronを見てみる。Pentium Mベースの「Celeron M」シリーズを引き継ぐ形で、2007年1月に「Merom-1M」が投入された。これはデスクトップ向けのCeleronと同様に、L2キャッシュを半減した構成である。2007年8月には、インテル自身のブランド再統合が行なわれた関係で、製品名がCeleron MからCeleronに戻るが、CPUの内容は変化していない。プラットフォームの更新にともなって、その後667MHz FSB対応Celeronが投入されるが、これもまだMerom-1Mのままだ。
実際のところ、インテルの45nmプロセスはチップセットやAtom、今後はAtomベースのシステムオンチップなども製造するので、Celeronは敢えて65nmのまま留めておくのか……と思っていた。ところが2009年第1四半期(リリースが無いので正確な日付は不明だが、3月末のようだ)に、インテルは「Celeron 900」なるPenrynベースの製品を投入した。FSBを800MHzに引き上げたもので、動作周波数は今のところ2.20GHzのみ。また、これに先立つ2008年末には、超低電圧版の「Celeron 723、722」を投入しているが、こちらはPenrynベースのCore 2 Soloを、単にCeleronグレードで販売しているだけである。
話を戻すと、問題はこのPenrynベースのCeleronである。製品そのものは出荷されているにもかかわらず、現時点でもまだデータシートがインテルのウェブサイトに掲載されていないとか、デスクトップ向けは「Pentium Dual-Core」にシフトしつつあるのに、その動きとマッチしない。以前は「Perryville」というコード名になるという話だったが、最近すっかり聞かなくなったところをみると、コード名は廃されたのかもしれない。
こうした状況から考えると、筆者はこのCeleron 900は、OEMベンダー側の要求で特別にリリースした、例外的なプロセッサではないかと考えている。というのは、まだモバイル向けのCore 2 DuoにFSB 800MHzの製品が出荷中で、同じFSBのCeleronを投入するのは、かなり異例なことだからだ。そのためモバイル向けCeleronに関しては、例外はあっても基本的に、2010年いっぱいはMerom-1Mのままで行くのではないかと想像している。
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