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PIE2009で新しい写真の可能性を探れ

アドビが考えるデジタルイメージの新世界

2009年03月27日 23時00分更新

文● 西川仁朗/トレンド編集部

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大勢の人で賑わうPIEの会場。新しいカメラにデジタルイメージの新たな可能性が詰まっている

ケビン・コナー氏は過去10年より更なる大きな変化がデジタルイメージの世界に待ち受けると予見する

 現在、幕張で開催されている「フォトイメージングエキスポ2009(PIE2009)」。2日目の今日も新しいカメラやレンズを夢中になって触るカメラファンが多かった。この週末はPIEに行くか、桜を撮りに行くかで悩まされる人も多いのではないか。

 そのPIEの会場において、アドビ システムズでプロフェッショナルデジタルイメージングプロダクトを担当するケビン・コナー氏が「デジタル化は序章に過ぎない」というテーマで会見を行なった。

 同氏は「過去10年間で写真の世界が一気にデジタル化した。今後10年でより大きな変化が起こるだろう」と同氏は述べる。その変化の波の中で、注目すべきキーワードが「プレンオプティクス(Plenoptics)」だ。

プレンオプティクスで切り取る世界

 現在アドビシステムズ研究所が研究している領域の1つが、プレンオプティクスだ。舌を噛みそうな名前だが、plenは「複数」を意味し、opticsは「光学レンズ」を意味する。つまり、複数のレンズを搭載した撮影機器のことだ。

 下の写真がアドビが実験のために開発したプレンオプティクスのプロトタイプである。

画面左のプロトタイプモデルにはレンズが19個搭載

 左のカメラには19個ものレンズが搭載されている。つまり、1つの被写体を撮影する時に、絞りや露出など写真を撮るのに必要不可欠な条件をそれぞれ変えて撮影する。それらをコンピュータ上で合成させた後に、RAW画像の露出やホワイトバランスをPhotoshop上で調整するように、後から細かなパラメーターを変更させることができる。

 19個ものカメラが押さえた写真なので、ありえないほど階調豊かなダイナミックレンジを表現したり、ピントを特定の場所だけに合わせて、特定の場所だけ外した作品もできる。レンズ数が多いため、撮影する画角も変わり、カメラマン自らが動かなくても後で最適な画角を判断できる。「もう少し上から撮ればもっといい角度だった」と後悔することもない。

撮影した写真がパノラマになったり、ハイダイナミックレンジ合成でおもしろい表現を行なうのは徐々に一般的なものになりつつある

 実は昨年末に発表された最新のPhotoshop CS4には、ピントの違う写真を合成する技術は搭載されている。そういったPhotshopの正常進化の方向性の1つがプレンオプティクスなのだ。

ピントが時計にあった写真

ピントが真ん中の本にあった写真

ピントが手前にあった写真

上の3つの画像を合成することで、すべてのパーツにピントがあった写真となる

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