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TSMC、45nmプロセスを2007年第3四半期の終わりまでに立ち上げると表明

2006年09月15日 22時44分更新

文● 編集部 小林久

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台湾の半導体ファウンドリーTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)社は15日、横浜市で記者会見を行なった。毎年この時期に行なっている“TSMC Japan Technology Symposium”に合わせてのもの。



国内のIDMに対して、改めて協調を呼びかけ

TSMCジャパン(株)代表取締役会長、馬場久雄(ばば ひさお)氏は、会見の冒頭で「2000~2001年にかけて大きな変革を強いられた半導体業界に、シナジーの時代が訪れた」と述べた。開発費や設備投資の増大によって、大きな壁を迎えているIDM(垂直統合型デバイスメーカー)に対して、ファウンドリーとの協調を強く呼びかけるメッセージである。

馬場氏は、TSMCとして国内で実現していかなければならないテーマとして、「IDMとのコラボレーションで日本の半導体業界を復活させること」「大きな成長の余地のある、国内のファブレスメーカーとの協業を積極的に推し進めていくこと」の2点を挙げた。日本の半導体市場は、一時期全世界の52%を占めたが、2005年には21%まで低下している。また、ファブレス市場でも、4兆円強の市場規模に対して、国内メーカーの占有率は1%程度とまだまだ成長の余地がある。

代表取締役会長の馬場氏代表取締役社長の小野寺氏

TSMCジャパン代表取締役社長の小野寺誠(おのでら まこと)氏は、半導体の生産規模に占めるファウンドリーの割合(MPUなどを除く、ロジックLSIの規模)が2005年に30%を超えたという米Strategic Marketing Associates(SMA)社の調査結果を提示。世界半導体市場統計(WSTS)とTSMCが概算したIDMのアウトソーストレンドの調査でも2005年にゆうに15%のシェアを超えていると指摘した。SMAの調査では、12インチウエハーの実に71%がファウンドリーから供給されている計算になるという。

TSMCは折に触れて、国内のIDMに対して協調を呼びかけているが、世界の水準に比べるとまだまだ低いという現状がある。小野寺氏は、単純な製品の売り買いだけはなく、戦略的なパートナーとして長期の付き合いを行なっていきたいというTSMCの意向を改めて強調した。

半導体市場における成長率の推移国内におけるプロセス別売上げ構成比。すでに11%が90nm以下、4割強が0.13μm以下のプロセスとなっている


来年の第3四半期には45nmプロセスを提供

台湾本社から来日したR&D担当副社長のジャック・サン(Jack Sun)博士は、会見の中で、2007年第3四半期の終わりまでには45nmプロセスの量産に入れる見通しであると述べた。当初は携帯機器をターゲットにした“Low Power”の製品をリリースし、2008年には“General Purpose”と“High Speed”(Low Voltage)へと広げていく。これと並行して既存技術を応用できるハーフノード(65nmプロセス、55nmプロセス)の製品も投入していく予定。

台湾本社R&D担当副社長のジャック・サン博士ロードマップ。2007年Q3に45nmプロセスの量産が始まる
半導体業界全体の平均よりも、一歩リードしたプロセス開発が可能とコメント液浸リソグラフィーの模式図。45nmプロセスの不良率に関してもかなり高い水準をキープできているという

サン氏は「TSMCは“ITRS”(国際半導体技術ロードマップ)を上回る速度で技術開発を進めており、今後も約2年サイクルで新しいプロセスへの移行が進められる」という見通しを示した。TSMCでは、液浸リソグラフィーにより32nmまで進めるとしているが、その技術開発も進捗しているという。同時に歩留まりに関しても、90nmから65nmへの移行の際には、0.18μmから0.13μmへの移行の半分程度の速度で不良率1桁台にできたとした。

台湾本社設計技術プラットフォーム担当副社長のフー・フェー・シー博士TSMCによるリファレンスフローは、Release 7にアップデートされている

同じく台湾本社から来日した設計技術プラットフォーム担当副社長のフー・ジェー・シー(Fu-Chieh Hsu)博士は、チップ生産の段階で起こりうる問題点をチップの設計段階から発注企業と共有していくことで、早期の段階から歩留まりを高め、開発期間の短縮も図れる“DFM”に対するTSMCの考え方と施策に関して説明した。このワークフローを定めた“Reference Flow”は、現在バージョン7.0が提供されており、その中にはリーク電流やスタンバイ時の消費電力が増える傾向にある最新プロセスに対して、どう対処していくかという部分に焦点が当てられているという。

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