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TSMC、65nmプロセス利用の半導体を量産――まずは低消費電力型から

2006年05月26日 18時12分更新

文● 編集部 小林久

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TSMCジャパン(株)は26日、都内で記者会見を開き、65nmプロセスによる半導体チップの量産体制が整ったと発表した。すでに米クアルコム社の製品などが、製造/出荷されている。

経営陣
会見に出席した経営陣。中央が台湾本社CEOのリック・ツァイ氏、左が新社長の小野寺氏、右が会長の馬場氏

また、65nmプロセスの半導体を設計する際に必要となるDFMツール群の提供も行なう(DFMはDesign for Manufactureの略)。65nmプロセス用のライブラリーやIP群が含まれており、DFM認証済みのEDA(Electronic Design Automation)ツールで利用できる。

DMFツール
DMFツール群は、LPC(リソグラフィープロセスチェック)、CMP(ケミカルメカニズムポリッシング)、CAA(クリティカルエリアアナリシス)の3つからなる

現在生産が始まっているのは、低消費電力タイプ(Low Power)の製品で、今年後半には汎用向け(General Purpose)、高性能タイプ(High Speed)の製品が順次登場する予定(関連記事)。

電子顕微鏡写真 ロードマップ
走査型電子顕微鏡による65nmプロセスのPoly Gate形状Logic技術のロードマップ


2005年、全世界では堅調な伸びを示したTSMC

本日都内で行なわれた発表会には、台湾本社の社長兼CEOを務めるリック・ツァイ(Dr. Rick Tsai)氏、5月1日付けで日本法人の代表取締役会長に就任した馬場久雄(ばば ひさお)氏、同じく代表取締役社長に就任した小野寺誠(おのでら まこと)氏などが出席した。

ツァイ氏は「半導体市場の伸長率は今後も年間8~10%を維持する」と話す。これは1970~90年代の成長率に比べると少ないが、“迅速な製品開発”と“効果的な投資”という2つの観点から、ファウンドリーの果たす役割はむしろ増していくという観測を示した。

TSMCの2005年の収益は、前年比7.5%増の82億ドル(約9102億円)で、ツァイ氏は「期待したほどではなかった」とコメントした。ただし、2006年の第1四半期は23億ドル以上(約2553億円)で前年比36%強の成長を果たしており、同氏も「2006年は飛躍の1年になる」とした。

プロセス別の売上では、すでに90nmプロセスが全体の2割を占めている。65nmに関しては今年後半から本格的な量産が始まるが、これらのキャパシティー拡大に対する投資を26~28億ドル(約2886~3108億円)程度行なう。また、次世代の45nm、32nmプロセスの研究開発に対する投資も開始しているという。



日本国内ではやや苦戦、3つの方針を核に

海外では堅調な伸びを示したTSMCだが、2005年は日本国内で苦戦を強いられた。国内の半導体市場が縮小したことにより、専業ファウンドリーとしてのシェアを10%台に増やしたものの、売上は前年比で3割強低下した。

新社長の小野寺氏は、下記の3点に注力し、TSMC全体の成長率を上回る成長を目差したいとした。

  • 顧客に対するベストなソリューションの提供――技術協力とパートナーシップによるシナジーの実現
  • 顧客に対する短期的なサポートではなく、長期的な信頼関係の構築
  • TSMCの強みと顧客の強みを生かした新商品の開発



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