イメージセンサーで映像品質は大きく変わる
――クリアビッドCMOSなら被写体を選ばない!
写真は小田原城。石垣から20~30m離れた位置に三脚を設置し、天守閣(4階)などを狙った |
実際に撮影してみると、全体的な傾向としてはDCR-DVD505で黒つぶれや白とびの発生が抑えられていた。強い光が射し込むシーンや暗い場所での表現は特に優秀だ。同じ普及価格帯のモデルなのになぜ違うのか。その理由は、DCR-DVD505/DCR-SR100で異なるタイプのイメージセンサーを搭載しているからである。
一般的な傾向として、CMOSセンサーは明るい場所の撮影に強いものの暗い場所での撮影に弱く、CCDセンサーはその逆の特性を持つ。ところがDCR-DVD505で採用されているクリアビッドCMOSセンサーでは、画素ひとつあたりの面積を拡大するなどして高感度を実現している。これにより明るい場所はもちろん、暗い場所での撮影にも強さを発揮するというわけだ。画素を大きくしているためにイメージセンサーの有効画素数は少ないが、これについては画素配列の工夫によって分解能低下の回避が行なわれている。
具体的にどの程度の差があるのかについては、作例を見ていただくのが早いだろう。この作例については、強い光が当たっている部分や影になっている部分のグラデーション、細部のきめ細かさなどに注目していただきたい。ちなみにこの作例では発色もそれぞれのカムコーダーでかなり異なっているのだが、それに関してはオートでの撮影に起因している部分が少なからずある。色の浅い/深いといった部分は参考になるとしても、ホワイトバランスなどについては撮影状況とカムコーダーの判断の組み合わせ次第だ(言い換えれば撮影状況が変わればより適正なホワイトバランスが得られるケースもある)。その点はご承知おきいただきたい。
なお、この作例で比較対象としてDVDカムコーダーの下位機種である「DCR-DVD405」も掲載しておく。DCR-DVD405はイメージセンサーにDCR-SR100と同じ総画素331万画素の1/3インチ原色CCDを搭載するカムコーダーである。上位モデルのDCR-DVD505とどの程度表現力が異なっているのか、その点に注目してほしい。
DCR-DVD505 | DCR-DVD405 | DCR-SR100 | |
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撮影素子 | 1/3インチ原色クリアビッドCMOS | 1/3インチCCD | 1/3インチCCD |
有効画素数 | 143万画素(16:9映像撮影時) | 206万画素(16:9映像撮影時) | 206万画素(16:9映像撮影時) |
開放F値間 | F1.8~2.9 | F1.8~2.9 | F1.8~2.9 |
焦点距離(35mm換算) | f=41.3~485mm(16:9映像撮影時) | f=42.8~495mm(16:9映像撮影時) | f=42.8~495mm(16:9映像撮影時) |
最低被写体照度 | 6ルクス(ナイトショット撮影時0ルクス) | 11ルクス(ナイトショット撮影時0ルクス) | 11ルクス(ナイトショット撮影時0ルクス) |
【DCR-DVD505】 | 【DCR-DVD405】 | 【DCR-SR100】 | ||
こちらは4:3モードのサンプル。ワイドスクリーンのテレビが普及しつつあるので、今後はこのスクリーンサイズで記録する機会も減っていくだろう。 |
【DCR-DVD505】 | 【DCR-DVD405】 | 【DCR-SR100】 | ||
天守閣に登った人物を下から撮影。上の作例と同じくテレ端で撮影。表情はなんとなくわかるものの、この状態で人物を撮影するにはいずれのモデルも厳しい。デジタルズームを使うという手もあるが、このように離れた場所の被写体を撮影するのであれば望遠倍率をアップさせるテレコンバージョンレンズがおすすめである。 |
【DCR-DVD505】 | 【DCR-DVD405】 | 【DCR-SR100】 | ||
ここでは人物の肌や衣服、欄干の表現に注目していただきたい。この場所はカムコーダーから見て左側から強い日差しが射し込んでいるため顔の一部や服が白くとんでいる(“白とび”している)が、DCR-DVD505は今回取り上げたモデルの中で比較する限りでは細かい部分まで再現できている。 |
価格を重視するなら「DCR-DVD405」という選択肢も
DVDならではの“手軽さ”を低価格で実現
「DCR-DVD405」はDCR-DVD505の下位モデルにあたるDVDカムコーダーで、DCR-DVD505の記録部にDCR-SR100と同等の光学ユニットならびに撮影機能を搭載するモデルである。そのセールスポイントはなんといっても“コストパフォーマンス”で、実売10万円そこそこの低価格モデルながら、臨場感あふれるサラウンドオーディオで記録でき、その映像は簡単な操作により家庭用DVDプレーヤなどで楽しめる。DVDカムコーダーならではの“手軽さ”を、お手ごろな価格で実現できるわけだ。DCR-DVD505との市場価格差は2万円程度。クリアビッドCMOSセンサーとCCDの差、これをどう考えるかが選択のポイントになるだろう。
DVDカムコーダーの普及モデル「DCR-DVD405」。 |
撮影した映像はテレビなどでみんなで見よう
――手っ取り早く楽しみたいならDVDが便利
DCR-DVD505は8cmのDVDメディアにDVD-VideoまたはDVD-VRフォーマットで映像を記録しているため、そのメディアはパソコンをはじめ家庭用DVDプレーヤーなど幅広い機器で扱える。メディアに記録した映像をリビングにあるテレビで楽しんだりコピー(ダビング)して配布といったことも可能だ。一方DCR-SR100では内蔵HDDに記録するため、そのままでは映像を活用できない(DCR-SR100本体にビデオケーブルを接続すれば再生・視聴は可能だが)。DCR-SR100からDVDメディアなどに書き出して配布しようとするなら、パソコンなどに接続してデータを一旦取り出す必要がある。この方法にはいくつかあるが、最も手っ取り早いのは“ワンタッチDVD”によるDVD化だろう。ワンタッチDVDとは付属のWindows用ソフト「ImageMixer for HDD Camcorder」との連携で実現される機能で、記録型DVDドライブを搭載したパソコンとUSBケーブルで接続して、DCR-SR100本体のメニューからワンタッチDVDを選択するだけでカムコーダー内部の映像を取り出してオリジナルDVD-Videoを作成できるというもの。DVD-Videoの作成にはそれなりの時間がかかるものの、手間は最初に実行したあと、万一DVDメディア1枚に入らない場合にメディアを交換する程度だ。撮影した映像の扱いやすさはDCR-DVD505などのDVDカムコーダーほどではないものの、DCR-SR100にも支援するための機能が盛り込まれている。
DCR-SR100には、パソコンを接続した状態で、液晶ディスプレーのメニューから“ワンタッチDVD”機能を選択するか、DCR-SR100に備えられた“ワンタッチDVDボタン”を押すだけでHDDに保存した映像をDVD化する仕組みが組み込まれている。 |
DCR-SR100をUSBケーブルでパソコンと接続した場合には、パソコンからはリムーバブルハードディスクとして認識される。HDDに記録した映像はMPEG-2フォーマットのファイルなので、ワンタッチDVD機能を用いずに、エクスプローラからコピーすることも可能だ。 |