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【TOKYO MOTOR SHOW 2005レポート Vol.2】実用化と普及に向けて着実に進む自動車用センシング技術――レーダーや画像解析技術でより安全より快適を目指す

2005年10月20日 21時49分更新

文● 編集部 小西利明

デンソーブースでデモされていた、CCDカメラを使った顔認識システムによる、瞬き開眼検知システム。いねむり運転防止などに利用が期待される
デンソーブースでデモされていた、CCDカメラを使った顔認識システムによる、瞬き・閉眼検知システム。いねむり運転防止などに利用が期待される

IT分野から見た自動車関連総合展示会“第39回 東京モーターショー2005 乗用車・二輪車”の見所の1つは、コンピューターや各種センサー、カメラを組み合わせて、事故防止や危険回避を行なったり、個人に合わせたセッティングを自動で行なうといった、いわば“自動車のIT化”だ。特に欧州では“アダプティブ・クルーズ・コントロール”と呼ばれる衝突回避技術や、“エレクトリック・スタビリティ・コントロール”と呼ばれる横滑り防止技術など、IT技術を活用したより安全な自動車の導入が進んでいるという。日本でも大手自動車メーカーの高級車に、オプションで搭載される例が増えている。これら自動車向けIT技術の活用について、ショーの展示から紹介したい。

アダプティブ・クルーズ・コントロール

繰り返しになるが、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)または衝突防止安全技術とは、各種のレーダーを自動車に搭載して、前方の車との車間距離や速度を計測、安全な車間距離を保てるように速度を自動で加減速したり、急接近などで衝突の危険がある場合には、ドライバーに警告を発したりする技術の通称である。車間距離センサーとなるレーダーと状況を識別・判断するコンピューター、エンジンやブレーキのコントロールなどが協調して動作することで実現されている。すでに高級車では導入が進み始めている技術だが、現状はコスト面の問題もあって、オプション装備というものが多い。会場では多数の電気機械メーカーや自動車部品メーカーが、ACCに必要なセンサー類と制御コンピューターを組み合わせた展示を行なっている。

使われているレーダーは、主にマイクロ波レーダー、ミリ波レーダー、レーザーレーダーなどがある。それぞれ一長一短あり、たとえば三菱電機(株)では、前方監視にミリ波レーダーを、側面・後方監視にマイクロ波レーダーを組み合わせたシステムを提案していた。説明によると、ミリ波レーダーは波長が短いためビームを絞りやすく、広い範囲(展示では1~200mの距離)での探知に適する。一方でマイクロ波レーダーは比較的小さい機器で横方向に広い範囲(広角近距離)を探知に適するという。またレーザーレーダーは2次元の観測が可能で、小型で低コストという利点がある。一方でレーザーレーダーは大雨や大雪、濃霧などの天候状況によっては、探知が難しくなるという問題点を指摘する声もある。実用には十分であるという意見もあった。日産自動車(株)の高級乗用車『フーガ』はレーザーレーダーを、米フォード・モーター社系のジャガーカーズ社はマイクロ波レーダーを使ったACCシステムを採用している。三菱電機のミリ波&マイクロ波レーダー複合システムは、2007~2008年頃の搭載を目指しているとのことで、最上級の高級車だけでなく、それより下のラインナップの車種でも搭載できるようにしたいとのことだ。

日立製作所ブースにあった、車載用レーダーおよびカメラの部品。ステレオカメラは必要な回路をフレームの裏側に実装し、小型化を実現したという
日立製作所ブースにあった、車載用レーダーおよびカメラの部品。ステレオカメラは必要な回路をフレームの裏側に実装し、小型化を実現したという
オムロン(株)ブースにあった、前方監視用のレーザーレーダー レーザーレーダーによる前方探知のデモ。シルエットが見える車の後部バンパーあたりに見える白い帯が、レーザーの照射されている部分
オムロン(株)ブースにあった、前方監視用のレーザーレーダーレーザーレーダーによる前方探知のデモ。シルエットが見える車の後部バンパーあたりに見える白い帯が、レーザーの照射されている部分
三菱電機の前方探知用ミリ波レーダー。200m離れた車も検出できるという こちらは三菱のマイクロ波レーダー。両側面と後部に搭載して、側面や後方の自動車や障害物の距離を計測する
三菱電機の前方探知用ミリ波レーダー。200m離れた車も検出できるというこちらは三菱のマイクロ波レーダー。両側面と後部に搭載して、側面や後方の自動車や障害物の距離を計測する

レーダーだけでなく、CCDカメラを使った画像処理技術を利用した、前方監視や周囲監視のシステムを提案している企業もある。たとえば(株)日立製作所では、スバルの富士重工業(株)と共同開発したステレオカメラを参考出展していた。2つのカメラを30cm弱のフレームでつないだような形状で、フレーム裏側に必要な回路も組み込むことで、コンパクト化を実現したという。こうした前方監視カメラによって、道路上の白線を識別し、車が白線をはみ出そうとすると、ドライバーに警告するといったシステムを、複数の企業が提案している。また前方の車や障害物を撮影、画像処理によって認識するシステムや、車体側面や後部にもカメラを搭載し、撮影中の映像をリアルタイム合成して、車体の周囲の様子を分かりやすい映像で表現し、接触事故防止に役立てるというシステムも、数社のブースで提案されている。

また(株)デンソーのブースでは、ミリ波レーダー、レーザーセンサー、画像センサーを組み合わせた、より高度な運転支援システムのデモも披露されていた。異なるセンサーの計測結果を組み合わせることで、自動車や歩行者、障害物、さらには道路標識などを認識するというもので、あくまでも技術デモという段階だったが、幅広い用途に利用できるシステムであるように思われた。

複数のレーダー、カメラを組み合わせて多機能な認識システムを実現するというデンソーの提案 そのデモ。レーダーと画像認識を組み合わせて、路上に駐車された車、止まっている人、移動中の人を検出し分けている
複数のレーダー、カメラを組み合わせて多機能な認識システムを実現するというデンソーの提案そのデモ。レーダーと画像認識を組み合わせて、路上に駐車された車、止まっている人、移動中の人を検出し分けている

ドライバーの顔を見分けろ! 画像認識あれこれ

オムロンの顔認識を利用した“わき見検知”システムのデモ。モニター下のカメラでドライバーの顔を撮影 顔を正面以外に向けると、わき見の警告が画面に表示される。左右だけでなく上下も認識可能
オムロンの顔認識を利用した“わき見検知”システムのデモ。モニター下のカメラでドライバーの顔を撮影顔を正面以外に向けると、わき見の警告が画面に表示される。左右だけでなく上下も認識可能

車内に搭載したカメラを使ってドライバーの顔を認識・識別し、さまざまな用途に活用する提案も、各社で行なわれていた。顔を識別して、シートの高さや位置、空調や好みの音楽をかけるといったパーソナライズシステムを提案している企業のほかに、顔の向きや眼の状態を認識して、安全運転を支援しようというシステムもあった。たとえばオムロン(株)では、映像から顔の向きを識別して、よそ見運転をしていると判断したら、ドライバーに警告し注意を促すシステムを展示していた。参考出展されていた“HDRC(High Dynamic Range CMOS)カメラ”は、車室内モニターだけでなく、外部に搭載して車外での画像認識用にも利用できるとしている。

デンソーがデモを行なった“瞬き・閉眼検知システム”では、顔の中から眼に注目して画像認識を行ない、眼を閉じている状態を識別してみせた。居眠り運転の兆候を事前に察知して、ドライバーに警告することで安全運転を実現しようというわけだ。

デンソーの顔認識による“瞬き・閉眼検知システム”。ダッシュボード上のカメラでドライバーの顔を撮影し、まぶたの動きで居眠りの兆候を検出、警告する
デンソーの顔認識による“瞬き・閉眼検知システム”。ダッシュボード上のカメラでドライバーの顔を撮影し、まぶたの動きで居眠りの兆候を検出、警告する

そのほかのテクノロジー

そのほかにも、いくつか興味深い技術の展示についてご紹介しよう。まずデンソーブースでは、トヨタ自動車(株)の車載情報通信機能“G-BOOK”をベースとした、リモートセキュリティーシステムを出展していた。このシステムを搭載した車が盗難などにあった場合、アラーム作動ともに車室撮影用カメラで中の様子を撮影。異常発生や撮影画像、さらに車の位置をG-BOOKセンターに通知して、センターから車の所有者に対して、電話やメールで異常発生を通知するシステムという。すでに8月発売の高級車レクサスGSシリーズに搭載しているとのこと。ちなみにG-BOOK端末での位置情報通知機能を利用して、実際に盗難された車を発見、犯人逮捕に結びついた例もあったとのこと。高級乗用車の盗難事件は絶えないだけに、ニーズの高いシステムと言えそうだ。

G-BOOKの仕組みを使ったリモートセキュリティーシステムの概念図(左)と、その装置(右)

液晶ディスプレーを応用した、新しい自動車のコンソールパネルを展示するメーカーもあった。三菱電機(株)では、3枚の液晶ディスプレーを横に並べたマルチファンクションディスプレー(多機能ディスプレー)でコンソールパネルを構成したデモを披露。スピードメーター関連やカーナビの進路指示などを表示していた。またシーメンスVDOオートモーティブ(株)ブースでは、半円形のディスプレーを組み込んだマルチファンクションディスプレーを出展していた。スピードや車体情報だけでなく、カーナビの地図やカーオーディオの画面を表示することも可能で、既存のコンソールパネルのデザインを流用できるので、なかなか使いやすそうでもあった。液晶ディスプレーを多用したコクピットは、航空機の世界で普及が進んでいるが、自動車にも当然応用が期待される分野だろう。

ちなみに欧州車では、フロントガラスに情報を投影するヘッドアップディスプレーをオプションで用意する車も少なからずあり、会場でも日本精機(株)が単色カラーやカラーのヘッドアップディスプレーを展示していた。軍用機の世界ではごく普通に使われているヘッドアップディスプレーだが、車載用として使うには、情報が外の景色に紛れてしまいやすいという問題点を克服しなければならず(飛行機なら外は基本的に空なので問題になりにくい)、幅広い普及は難しいのではとの意見も聞かれた。SF映画のように、フロントガラスいっぱいに多彩な情報を表示するというのは、実際に使うとなると難しそうだ。

三菱電機ブースのステージでデモされていた自動車用3画面マルチファンクションディスプレー。さまざまな情報が表示されているのが分かる
三菱電機ブースのステージでデモされていた自動車用3画面マルチファンクションディスプレー。さまざまな情報が表示されているのが分かる
独シーメンス社の半円形マルチファンクションディスプレー。既存の車のコンパネデザインの中に、違和感なく組み込めるのがポイント
日本精機の車載用カラーヘッドアップディスプレー。すでに実用化されているものだ
日本精機の車載用カラーヘッドアップディスプレー(写真中央上の緑の数字表示がそれ)。すでに実用化されているものだ

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