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第2回ROBO-ONE大会が開催――50台近い2足歩行ロボットが激闘!!

2002年08月14日 00時55分更新

文● 浅野純也

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2足歩行ロボットによる格闘競技会“2回ROBO-ONE”が10日と11日の2日間、川崎市の川崎産業振興会館で開催された。ROBO-ONEはロボット製作を趣味に持つ愛好家や関連企業が中心になって始めたロボットイベント。2足で歩行するロボットが参加資格であることや“格闘”を前面に押し出していることなどほかのロボットコンテストにはないユニークなコンセプトが特徴だ。今年の2月に第1回大会が開催され、今回が2回目となる。ちなみに会場の川崎産業振興会館は愛好家の間で人気が高いロボット競技会“かわさきロボット競技大会”が毎年開催される“由緒正しい”会場でもある(今年の開催は8月24、25日)。

前回の開催からわずか半年後にもかかわらず50台近いロボットがエントリーする盛況ぶり。長くロボット製作をホビーとして楽しんできた人たちのほかに第1回大会に触発された人も多く、初めて作ったロボットを持ち込む参加者も多かった。この分野に対する興味・注目度の高さには驚くばかりだ。

初日の10日は予選。各ロボットが参加条件をクリアできるかをチェックし、同時にパフォーマンスを披露する場だ。これに技術力などの要素点を加味し、合計点数で予選順位を決定、上位16体が決勝トーナメントに進出することになる。第1回の参加資格は2足歩行ができることだったが、今回は“屈伸ができること”が追加され、求められる技術レベルが上がった(こうしたルール変更は随時行なわれており、後述する第3回では階段の昇降が参加資格として検討されている)。

3位のR-BlueIV
3位のR-BlueIVはROBO-ONEではすでに人気ロボットの地位に。前回より1つ順位を上げた

予選をトップで突破したのは前回もトップ通過だった吉村浩一さんの『R-BlueIV』。今回は倒れた状態から起き上がる機能を追加しての再挑戦。優れたデザインとフォルム、技術的にも高い評価を受けての堂々のトップとなった。起き上がり機能は予選4位の森永英一郎さんの『Metallic Fighter』も備えていた。

予選3位通過のA-Do予選3位通過のA-Do。前回から完成度を高めての出場だ

11日は決勝トーナメントが開催された。予選を通過した16体が上位と下位のタスキがけ方式で対戦するノックアウト方式。ロボットのサイズや性能など対戦相手によっては異なる結果も……という対戦もいくつかあったが、現状ではそのあたりのレギュレーションはないので、70センチを超える大型機と30センチの小型機の対戦や、大型機同士の対戦など“見て楽しい”カードも見られた(ROBO-ONEのコンセプトのひとつに“観客も楽しめるエンターテイメント性”があるのでその意味では成功か)。

松本さんのLimbgrandこれは某アニメの某ロボット? ではない。前回ガンダム風ロボットで人気を博した松本さんのLimbgrand
R-BlueIV姫路工業大のAdamant 2ndとの対戦で何度も起きあがるR-BlueIV。その健闘ぶりが評価されダウン数は多かったが試合を勝ち上がった
準決勝でR-BlueIVとMetallic Fighterが対戦準決勝でR-BlueIVとMetallic Fighterが対戦。両者とも立ち上がり機能があるため白熱した闘いになった
大型機同士の対決
大型機同士の対決。人の腕と比べるとその大きさがよく分かる

結果から言うと優勝は『Metallic Fighter』。準決勝でR-BlueIVを僅差で下し、決勝戦では70センチ近い大型機『HSWR-01』を倒して初制覇を遂げた。なお賞金は100万円。副賞としてオートデスク(株)のCADソフト約260万円分などが贈呈された(この副賞は上位4名にも提供された。ちなみに同社はこの分野への積極的な関与をプロモーション中だ)。予選トップのR-BlueIVは起き上がり機能でことごとく立ち上がったものの、ダウンの数が多く今回は3位に終わった。2位のHSWR-01は独特のリンク機構を持つ大型機。足を開いて腰を据えてのパンチ乱れ打ちが武器で、安定度の高さも抜群だったがわずかなタイミングでダウンを喫し敗退した。

決勝戦の様子決勝戦の様子。対格差があるものの一瞬のスキをついてMetallic Fighterが相手を倒した
優勝したMetallic Fighte優勝したMetallic Fighter。前回は予選は通過したものの調整不足で涙を飲んだ。製作者の森永さんはマイクロマウス時代からの長いキャリアの持ち主
優勝した森永さん
優勝した森永さん。賞金100万円と高額ソフトを獲得した
準優勝のHSWR-01準優勝のHSWR-01。70センチを超える大型ロボット。細い足だが独自のリンク設計によってバランスを保っている
AZ-D1モリムラヒザ部分がジャッキ風のスプリング構造になっており、これで課題の“屈伸”を実現している。田中さんのAZ-D1モリムラ
謙慈さんのRV-02
2足歩行なのにキャタピラ? はカモフラージュで、クローラー間の前後の足で移動する謙慈さんのRV-02
LEGO TROOPERやはりLEGOが登場しないと。佐伯さんのLEGO TROOPER

階段を上り下りするエキジビション“ROBO-ONE STAIRS”も開催

今回はエキジションとしてROBO-ONE本競技のほかに階段を上り下りする“ROBO-ONE STAIRS”が開催された。1段3センチのアルミ製の階段を制限時間5分の間に5段上り5段下るのが目標。クリアすると10万円の賞金というので多くのロボットがチャレンジしたが、成功したのはSHR研究会という沖電気工業(株)のメカトロニクス系の同好会のロボット『STEP1』のみ。同社のATMなどのメカトロ技術をスピンアウトさせたものだ。競技では準決勝でHSWR-01との大型機対決で敗退したが、見事に10万円を獲得していた。

SHR研究会のSTEP1SHR研究会のSTEP1は参加ロボット中最大の大型ロボット。STAIRSをクリアして10万円をゲットした
ROBOTIS-GW1
STAIRSにチャレンジ中のROBOTIS-GW1。絶妙なバランス取りでセンサーレスながらクリアしかけたのだが……
ROBOTIS-GW1韓国のキムさんのROBOTIS-GW1。絶妙なバランス取りで前方への頭突き攻撃を加える。STAIRSは惜しかった!

また、韓国からの招待選手も力を発揮した。韓国でロボットベンチャーを営むキム(Kim)さんの『ROBOTIS-GW1』はトリ足型のロボット(映画『スターウォーズ』シリーズのスカウトウォーカー風)。実際の競技では運動性能の高いロボットの動きに付いていけず敗退したものの、完成度と工作精度の高さをアピール。またSTAIRSでも昇降はクリアしたものの、時間がわずかに足りずに賞金を手にすることはできなかった。

協賛のバンダイ
協賛の(株)バンダイは来年発売予定の高機動ラジコンロボットを展示。デモも行ない観客の注目を集めていた

今回は2足歩行を易々とこなす機体が大幅に増え、整備時間が短くなるなど(前回はラウンドごとに修理タイムが入るほどだった)、わずか半年の間に全体的な技術レベルが大幅に上がっていたことに驚かされた。主催者側も予想以上だったらしく、1分という試合時間やサイズレギュレーションなど今後の対応を考えざるをえないだろう。主催のROBO-ONE委員会の西村輝一委員長はそれを含めて「大成功でしょ」と笑顔で話してくれた。なお第3回大会は来年2月に予定されているほか、韓国でのアジア大会の開催も準備が進められている。

西村ロボットクラブが製作したロケットウィングを装備して空を飛ぶ(予定の)ロボット
ROBO-ONE委員会の母体でもある西村ロボットクラブが製作したロケットウィングを装備して空を飛ぶ(予定の)ロボットも展示された。詳細はNRCのホームページ(http://www5b.biglobe.ne.jp/~nrc/)へ(ムービーがあります)

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