日本科学未来館は、特別イベントとして小型2足歩行ロボットによる格闘競技大会“ROBO-ONE 第1回大会”を2日~3日に開催するにあたり、本日1日に報道関係者向けのプレスプレビューを行なった。
“ROBO-ONE 第1回大会”に出場するロボットを代表して、プレスプレビューでデモを行なったエントリーNo.001の『R-Blue III(アールブルースリー)』。参加代表者は吉村浩一さん。報道陣の前で、左右の腕で交互にパンチする連続パンチ技“マトリックス”を披露。腰を落としてパンチを繰り出す本格派 |
“ROBO-ONE”は、アマチュアのロボット製作者(ホビーイスト)たちがそれぞれの制作したロボットを持ち寄り交流を深めるとともに、ロボットの楽しさをより多くの人々に広めることを目的としたロボット競技会。2足歩行ロボットによる格闘競技大会はROBO-ONEが世界初という。2日13時に予選を、3日11時に本選(決勝トーナメント)を行なう。主催は日本科学未来館、運営はROBO-ONE委員会。
ROBO-ONEの基本ルールは以下の通り。
参加ロボット資格
- 2足歩行ロボットであること
- 直立時に両足の裏とそれを繋いだ領域がロボットの外形と同じかそれ以下であること
- ロボットの幅と奥行きの長さよりも、高さのほうが大きいこと
- ロボットの大きさは、身長20~120cmとする
- ロボットの制御は、コンピューターによる自立操縦、人間による手動操縦のどちらでもかまわない
- ロボットを手動操縦する場合は無線操縦とする
- 試合環境(光/音/電波)を考慮したものにし、対戦相手が同じシステムを使っても操縦に支障が無いようにすること。なお、小電力/微弱無線操縦の場合は3ch以上の周波数を持つ無線システムとすること。また、ラジコンプロポシステムを利用する場合には、混信を防ぐためPCMを推奨する
- 動力源は、ロボットに搭載すること
禁止事項
- 妨害電波発生装置または、ストロボ等相手のコントロールを乱す装置を内蔵してはならない
- リングを傷つけたり、汚したりする部品を使用してはならない
- 液体、粉末および気体を内蔵し相手に吹き付ける装置をセットしてはならない
- 発火装置を内蔵してはならない
競技は、予選と本選に分けて行なわれる。予選はエントリーした全員(全ロボット)が参加し、各ロボットは最大1分間のデモンストレーションを行なう。これを5名の審査員が審査し、1人100点の持ち点からそれぞれの得点を決定、得点の高い順から計16台が決勝へ進出する。審査基準としては、キックやパンチ、身体をひねる、倒れても起き上がるなど、ロボットとして動きのいいものや、観客が喜ぶようなパフォーマンスを行なえるロボットを選ぶという。
本選はトーナメント方式で、デモンストレーション得点と試合得点の総合評価となる(2つの評価の比率は50:50)。まず、試合を行なうロボット2体がレフリーの指示に従って約2m四方のフィールド(リング)に上がり、それぞれが2分間のデモンストレーションを行なった後、試合をする。
試合は、人間のボクシングやプロレスといった格闘スポーツの要領で、レフリーの合図とともにロボット同士が戦う。1ラウンド1分間で、計5ラウンドのうち3ラウンド先取で試合終了となる(ラウンド間の調整時間は3分以内)。試合中に、ロボットの足の裏以外の部分がマットについた場合、およびロボットがリング外に出た場合は、レフリーがダウンと判定、10カウント(10秒)以内で立ち上がれないとノックアウトとなる。ただし、ダウンの回数には制限がない。また、試合中にギプアップする場合はレフリーに申告する。
なお、試合の審査基準として、積極的に戦い、いい動きをしたロボットのほうが得点が高くなり、例えばじっと立ったままのロボットと、戦おうと動き回ったあげく自分から倒れてしまったロボットとでは、動き回ったロボットのほうに得点が加算されるという。
R-Blue IIIが対戦相手に向かってパンチを一発。ちなみに相手ロボットはROBO-ONE西村代表が昨日作ったというデモ用ロボット |
R-Blue IIIの強烈なパンチを浴びて、相手ロボットは倒れてしまった(本当) |
『R-Blue III』は、パソコンを使って無線で操作する。開発期間は、ハードが3ヵ月、制御用ソフトが約1年。ただし、吉村さんは普段仕事をされているため、余暇を利用して開発したとのこと。参加者のほとんどが吉村さんのような余暇利用のアマチュアのロボット製作者という |
今回の第1回大会には、計38体のエントリーがあったが、大会当日は約30体が出場するという。ROBO-ONE委員会代表の西村輝一氏((株)いすゞ中央研究所部長/西村ロボットクラブ代表)は、「今回は第1回大会ということで、参加資格は“3歩歩ければいい”ということなので、出場するロボットのうち、実際にちゃんと歩けるのは半分くらいだろう。参加者も観客も楽しめるような、賞金に走らないイメージの大会にしたい」としている。
ROBO-ONE 第1回大会は、日本科学未来館で2日と3日に行なわれる。観覧料は未来館の入館料に含まれる(大人500円/18歳以下200円)。
なお、大会期間中の会場では、中国の国防科学技術大学三院機器人実験室で開発されたヒューマノイドロボット『先行者』を紹介する“先行者ブース”が用意され、中国関係者による説明も行なわれる。ただしロボット本体は中国国外に持ち出せないため、パネルとムービー、説明文での発表となるという。