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【CEATEC 2001 Vol.5】液晶や有機ELなど、出展各社の注目のデバイス類

2001年10月04日 23時18分更新

文● 編集部 中西祥智

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千葉・幕張メッセで開催中の電子技術関連の複合展示会“CEATEC JAPAN 2001(シーテック ジャパン)”において、各社の出展した機器類を、液晶などのディスプレーを中心に紹介する。

高精細な“システム液晶”

シャープ(株)は、小型で高精細な液晶ディスプレー“システム液晶”を使った機器を出展した。

7インチのシステム液晶
7インチのシステム液晶。1280×768ドットの解像度がある。Excelの表の文字が、細かすぎて逆に見づらいくらいだった

システム液晶は、液晶表示部だけでなく、表示に必要な液晶駆動回路やコントローラーといった周辺部品を、液晶を構成する同じガラス基板上に形成したもの。部品点数を大幅に削減できるため、搭載する機器を小型化、軽量化することが可能だという。

ハイビジョン放送も表示できるシステム液晶テレビ
ハイビジョン放送も表示できる7インチのシステム液晶テレビ。写真ではくすんで見えるが、実際にはもっと鮮やか

システム液晶は、同社の“CGシリコンTFT”技術を使用している。現在市販されている一般的な液晶は、“アモルファスシリコンTFT”や“低温ポリシリコンTFT”など。これらはディスプレーの個々の画素に対応するトランジスターを形成するために必要なシリコン膜の、結晶の質によって分類される。アモルファスシリコンTFTは非結晶シリコンで構築され、低温ポリシリコンTFTはシリコン多結晶の基板上に直接回路を形成する。結晶の質によって電気の流れ方“電子移動度”が変化し、その電子移動度が高いほど、高性能なトランジスターを形成できるという。

3.7インチのVGAシステム液晶ディスプレー
3.7インチのVGAシステム液晶ディスプレー2枚による電子ブック

CGシリコンTFTの電子移動度はアモルファスシリコンTFTの約600倍、低温ポリシリコンTFTの2.3倍であり、ガラス基板上への高性能なトランジスター、LSIの集積が可能になるという。今回の出展はこの液晶を使ってどのようなことが可能になるかを示したもの。同社では、2002年の秋ごろには製品を出荷したいとしている。

20.1インチモノクロTFT液晶ディスプレー
20.1インチモノクロTFT液晶ディスプレー。700カンデラの高輝度で1600×1200ドットの表示が可能。コントラストは1000:1。主に医療用を考えており、ドット落ちは許されない(レントゲン写真などを正確に表示しなければならない)という

そのほかには、700cd/m2の高輝度でのUXGA表示が可能な20.1インチモノクロTFT液晶ディスプレーや、プラスチック基板を用いることによる、長方形ではないハート型などの液晶パネルなどを展示していた。

プラスチック基板を用いた変形液晶パネル
プラスチック基板を用いた変形液晶パネル。ただし、展示していたのはモックアップ
2枚の液晶を背中合わせに張り合わせた液晶パネル
2枚の液晶を背中合わせに張り合わせた液晶パネル。携帯電話の表裏に違う画像を表示できる。コントローラー部分などを共通化することで、小型軽量化を目指す

有機ELディスプレーと超小型CCD

三洋電機(株)の有機ELディスプレーの展示には、多くの人が集まった。

三洋電機の有機ELディスプレーの展示
三洋電機の有機ELディスプレーの展示

今回出展したのは、TFT液晶と同様に画素ごとにトランジスター回路を形成し、そのスイッチング機能を利用して高速に表示を行なう“アクティブマトリックス型”の有機ELディスプレー。2.2インチおよび2.4インチ、5.5インチの、3種類のサイズの有機ELディスプレーが並んでいた。

5.5インチの有機ELディスプレー
参考出展の5.5インチ有機ELディスプレー。320×240ドット、フルカラー表示が可能
こちらはパッシブ型有機ELディスプレー
こちらはパッシブ型の1.3インチ有機ELディスプレー(120×60ドット)。パッシブ方はアクティブ型のようにトランジスターを組み込んでいないため、構造が簡単。ただし、性能や寿命では劣る

有機ELディスプレーを搭載した第3世代携帯電話のモックアップも出展していた。そのモックアップには小型のカメラが取り付けられていたが、これは同社の開発した携帯機器用11万画素のCCDカメラだ。

有機ELディスプレーを搭載した第3世代携帯電話
有機ELディスプレーを搭載した第3世代携帯電話。モックアップだが、液晶は実際に動いていた
携帯機器用11万画素のCCDカメラ
携帯機器用11万画素のCCDカメラ

このCCDカメラには同社のチップ型CCD『LC99263FB』を組み込んでいる。

LC99263FBチップ
中央がLC99263FBチップ。左の『LC99704B』は、同チップのコントローラー

LC99263FBは対角2.6mmで、有効解像度は370×296ドット。携帯電話用などで使用されているCMOSイメージセンサーに比べて、感度が高くノイズレベルは低いという。2002年3月ごろには出荷し、主な用途としては携帯電話やPDA向けのカメラを想定している。なお、同社は対角3.6mmで33万画素のCCDも現在開発中。

LC99263FBで撮影した動画
LC99263FBで撮影した動画

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