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ドライアイス冷却でマイナス70℃の世界へ!FSB設定クロック200MHzでの起動をマーク!!

2001年08月19日 19時25分更新

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●極低温環境におけるAthlon-1.2GHzの実力を試す

十分にドライアイスを詰め込み冷却効率を高めるために保冷BOXを密閉して最高動作クロックを見定めるテストを実施した

 保冷BOXを密閉した状態でしばらく放置し、各部の温度が安定した頃合いを見計らってシステムを再度起動させ、BIOSセットアップからFSB設定クロックを一気に150MHzとした。SAVE EXITからの再起動も順調でスルスルとWindowsがスタンバイ完了。1.5GHz動作の安定性を見定めるためにSuperπを起動して計算をスタートさせると結果は87秒後に「πの計算が終わりました」とメッセージボックスが表示された。計算中の各温度は、ほとんど変化せず安定している。最終的に10倍設定でOSが起動できたFSB設定クロックは、180MHzであったが、途中でドライアイスの補給とCPUコア電圧を+0.4Vとした。ちなみにDDR電圧は、+0.1Vアップの設定DIPスイッチをONにセットしたのみである。このテスト結果から実験に使用したAthlon1.2GHzのオーバークロック耐性は1.8GHzまでに最高動作クロックを迎える予測がついた。



ほぼ1.8GHzでWCPUID(H.Oda!氏作)がチェックできた

 次にCPUの動作倍率を9倍に戻してスピード重視の設定で動作限界を探ってみる。最初は、FSB設定クロック185MHzで様子を伺ってみたが、あっさり77秒の計算時間でSuperπの104万桁をクリアーした。調子に乗ってFSB設定クロックを5MHzステップで高くセットし結果的に195MHz(コアクロック1755MHz)で73秒をマーク。196MHzでは、計算ループ中盤でエラーとなった。が、このテスト中においてもCPU温度は、監視している温度計の計測範囲内に上昇してくる気配が感じられない(ドライアイスの補充を怠らなければの話だが)。なお、これまでに消費したドライアイスは、保冷BOXに配置した塊を含めて3Kgほど。クーラーBOXには、まだ2つの塊が残っている。ドライアイスの残量を確認しつつ、あと+5MHzでFSB設定クロックが200MHzに到達するのだと考えていた。やはり試しておきたい節目の周波数である。しかもコアクロックは、ちょうど1.8GHzでメモリーさえ耐えられたらOSの起動は先ほどの調べから大丈夫だろう。「WCPUIDならチェックできるかも」とすぐに試してみた。ところがメモリーの動作が怪しいのかすんなりとOSがスタンバイしてくれない。結局、DDR電圧を+0.6Vまでセットして計算上3.1Vでどうにか動き出した。その結果、Superπはスタート直後にエラーとなるもののWCPUIDの計測結果をビットマップファイルに納められた。



3D系のベンチマークを終了した直後のCPU温度。これまで測定限界温度を超越していたために一度も数値を表示しなかった温度計だがここにきて初めて変化した。CPUは、連続動作だと数分間でも猛烈に発熱する

 「じゃぁ、グラフィックについてどうなんだ?」と、今度は3D系のベンチマークを走らせてみることにした。これまでの空冷実験結果から推定するとSuperπがクリアーできるクロックより下回る可能性が高い。そこでFSB設定クロックを190MHzにセットしてテストを開始した。ところがベンチマークをスタートさせた直後、最初のステージが終了するまでにシステムがフリーズ。キーボード操作にも全く反応しない。仕方なく電源を再投入し更にクロックを下げ、185MHzで再度スタートしてみると今度は安定して走り出した。だが、中盤のステージ最中にCPU温度が変化した。これまで測定限界を超えた温度のために全く変化がなかった温度計の表示が徐々に上昇していく数値を示しているではないか。どうやら凄まじい勢いでCPUが発熱しているらしい。何とかベンチマークテストはクリアーできたが、CPU温度はマイナス46.7℃まで上昇した。ひょっとして…と気になって保冷BOXを開口してみると、ベンチマークテストを開始する直前に双方の“クリぬいてマス!”へ山盛りに補充したドライアイスは、先のCPU温度上昇を裏付けるようにこれまでの消耗ペースよりもスピードを増していた。意外だったのは、NorthBridgeに装着した“クリぬいてマス!Pro”のドライアイスが極端に消耗していることだ。おそらくはCPUだけでなくNorthBridgeも強烈に発熱していたものと推察できる。もしも、この次の極低温実験があるのなら、ここも温度監視の対象に加える必要性を感じた。なお、ベンチマークテストの結果は、次のページに掲載しているが、3DMark2000 Ver.1.1と3DMark2001については前回の記事で報告したデーターと比較している。また、N-Benchのテストにおいては、FSB設定クロック193MHzでデーターの取得に至ったことを報告しておこう。



3D系のベンチマークを開始する前に山盛りに補充したはずのドライアイスは、一度のテストを終えるとご覧の通りだ。CPUの発熱も激しいがNorth bridgeも強烈に発熱している疑いが濃い。次に機会があるならこちらの温度監視も必要だ

 最後に、本文冒頭で説明した準備内容は、多少面倒な部分もあった。しかし常温環境と異なり用意周到でなければ極低温環境での動作実験はそれなりに敷居が高い。場合によっては実験中断に追い込まれる落とし穴もあり、デバイスの破壊や折角用意したドライアイス等の寒剤が無駄になるケースも考えられる。ところがCPUの冷却に関しては、完成度の高い“クリぬいてマス!MAXX”や“クリぬいてマス!Pro”を用いることで一段敷居が下がった印象が強い。これなら安心して手軽にCPUを極低温環境へ誘えるだろう。



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