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ライティング・フェア2009&LED Next Stageレポート

オフィスの省エネ・CO2削減は次世代照明から!?

2009年03月07日 00時00分更新

文● 行正和義

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LED照明って、実は省電力にならない?

三菱電機のLEDグリッド天井照明

三菱電機のLEDグリッド天井照明。同社が蛍光灯で用いている「Easyecoもっとeco」シリーズのようにグリッド配置を行なってエリア別に調光を制御できる。このようなLEDの特性を活かした配置を利用して、約15%の消費電力削減が実現できる

 LEDは省電力性能が高く、CO2削減に役立つなどセールスポイントは大きい。とはいえ実際の導入にはまだ課題が残りそうだ。ひとつは「単価」で、同程度の出力の蛍光管や電球型蛍光灯とリプレイスするのに1万~数万円かかるのでは、「電力消費が半減するから」と言われてもなかなか導入は難しい。

 さらなる問題は、ほとんどのメーカーがセールスポイントとして挙げているにも関わらず、現実には必ずしもLED化が省電力に繋がるわけではないということだ。確かに同程度の明るさならばLEDは蛍光灯と比べて半分程度の消費電力で済み、計算上は省電力になると思うかもしれないが、LED照明の特性に問題がある。

 蛍光灯はガラス管の内壁に塗布された蛍光剤が光り、その光は全方位に広がるのに対して、LEDは小さな半導体面が光って表面のレンズによって光が一方向に照射される。LED照明の効率が高いのはこのためだが、照明として考えるとこの特性の違い(全方位と指向性)は大きい。

 現在のLED照明の多くが天井設置のダウンライトとして利用されているように、限られたエリアをスポット的に照らすには十分だが、オフィス照明のように広いエリアを均一に照らそうとすると、設置数の増加や散光の工夫などが必要となり、結果的に蛍光灯照明に比べて「消費電力的に若干お得な」程度になってしまう。

ギャラックスの「ラディアルクスLED照明」

ギャラックスの「ラディアルクスLED照明」。ピラミッド型の反射板に4つのLEDを装着したものを1ユニット(4W)として天井埋め込み型としている。反射型のため柔らかく散光するのがポイント

 もちろんLEDの寿命は蛍光灯よりも長いため、電力消費以外にもメリットがあるほか、水銀を使わないなど環境面で見るとその価値は高いのだが、従来型の蛍光灯をそのまま代替するという単純な話ではなく、オフィスのライティングデザインそのものを見なおす必要もありそうだ。

日立ライティングの「ラインセーバー」

LEDを筒状に配置したスリムライトが店舗用にたなライトとして多く用いられているが、こちらも各種の工夫がなされている。日立ライティングの「ラインセーバー」は筒に多数のLEDを入れるのではなく、両端にある2つのLEDとその間にある散光用樹脂だけで均一な線状の光を実現している。LEDライトもタンデムやアレイ状に並べるだけではなく、配光するための工夫がこれから本格化しそうだ

 実際、会場の各所でアピールされていたのがLED照明を使った各種店舗レイアウトで、LEDのスポット照明を最もうまく使えるのは商品展示であるのは確かなようだ。


 (次ページ、「LED照明以外の省電力手段は?」「Shop Japan 2009で見つけた逸品」に続く)

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