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「次世代照明展」で見えた、切迫する省電力化事情

2009年04月17日 09時00分更新

文● 行正和義

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次世代照明・技術展
「次世代照明・技術展(ライティング ジャパン)」は今年が初開催

 4月15日~17日、東京ビッグサイトで第1回となる「次世代照明・技術展(ライティング ジャパン)」が開催されている。総勢約250社が出展するという大掛かりな展示会の主力は、発光素子や照明機器製造のための技術と設備などが展示ブースの大部分を占めるのだが、LEDをはじめとした次世代照明への本格的な切り替えのために業界全体が大きく動き出しているのが実感させられる。


いまやLED照明を導入すべき理由がある

 というのも4月の改正省エネ法施行(関連サイト)によって電力使用量の報告が義務付けられ、工場や店舗、各種事業所にとっては電力削減が急務になりつつあるからだ。特に目立つのはコンビニエンスストアなどの店舗の商品陳列棚・看板で、すでにセブン-イレブンでは新規店舗の全照明をLED化すると発表し、実施されつつある((関連サイト、PDF)。

ECOボールランプ LEDを駆動する昇圧・制御モジュール
電球代替型のLED照明に関しては東芝「E-CORE」に続けとばかりに、多数のメーカーが出展していた。写真はイネックスの「ECOボールランプ」。ダウンライトとしてはなら十分な照度を持つが、いずれもLED素子からの放熱の工夫がポイントとなるようだ単にLED照明のユニットではなく、既存の白熱電球・蛍光灯の代替として使うための工夫がここしばらくは続きそうだ。写真は「SEMITEC」(石塚電子)のLEDを駆動する昇圧・制御モジュールだが、白熱電球と蛍光灯サイズに収まる

 すでに東芝ライテックの電球型LED「E-CORE」なども発売されており、LED型蛍光灯など既存の照明設備をそのままにLED化できる製品群が続々と登場しつつある。ただし、電球や蛍光灯とLEDでは配光パターンが異なるため、商品陳列棚や看板といった照明部材はともかく、オフィスや店舗など全体的に均一に照らすような環境ではLED化しても電力消費的にそれほどメリットがあるわけではない。

L魂 散光部材
LED照明装置の電菱が発売した「L魂(えるだま)」。全周囲に散光して白熱電球と互換性がある。東芝ライテックのE-COREが1万500円なのに対し、ほぼ半額の5000円というのが魅力(会場内で直接販売中)LED照明の要となるのが散光部材。点光源なLED光を均一かつ少ないロスで広く照らすのがポイントだが、天井部材の軽量化などの効果も大きい

 LED照明関係の技術展示に関しても、素子自体よりも配光、散光関連の技術が目立つのもうなずけるというもの。もっとも、均一な天井照明ではなく、たとえばオフィスの廊下などの天井に埋め込まれるダウンライトといった照明では指向性の強い光源ならば効率よく明るさを得られるため、LED化にはかなり有効だ。


単純な蛍光灯・電球の置き換えだけでは済まない!?

 次世代照明としてLED導入を考えるならば、単に代替として導入するよりもトータルパッケージで考えるべきだろう。照明器具のリニューアルは省電力だけでなく蛍光灯を保持していた天井部材削減、それにともなう空調設備への負担軽減、保守頻度の低下など、総合的に考えなくてはならない。

カネヒロデンシの蛍光灯型LED照明 照明のインテリジェント制御
蛍光灯型LED照明の導入では蛍光灯用点灯回路を取り外す小規模な工事が必要となる。カネヒロデンシの蛍光灯型LED照明でも導入による省電力の利点だけでなく、配光パターンの違い(配光されている部分は明るく、天井面は照らされないため暗く感じる)を、来場者に説明していた照明そのものをインテリジェントに制御して省電力化を図る方向性も模索中だ。人のいる部分だけ点灯させることでオフィスの不要なエリアを減光・消灯するテクノロジーも今後増えてくるだろう。シーアイ化成の多灯制御はライトユニットそれぞれに制御基板を追加し、ワイヤレスで制御される

 LED照明の導入自体はそれほどウェイトを占めてはいないものの、大成建設の「スーパーエコ工場」のように施設全体をどのようにリニューアルし、照明・空調・施設内での物流などトータルでのCO2削減量を目指すかを具体的に紹介していたのが印象的だ。

カネヒロデンシの蛍光灯型LED照明 照明のインテリジェント制御
大成建設のエコ工場のテクノロジー紹介。既存工場のリニューアルに関しては、工場内の気流シミュレーションも含めて見直すことで空調における電力消費を抑えることに成功している改正省エネ法は工場、オフィス・商業施設などにも幅広く適用されるが、トータルでのCO2削減を目指すには単にLED電球に変えれば済むというわけではなく、施設全体の見直しを含めたパッケージングサービスが今後いっそう多くなりそうだ

 LED照明、さらには一部のメーカーが注力する有機・無機EL照明など次世代照明に注目が集まりつつあり、現在も進みつつある電力→光変換効率の向上、増産による単価低減が期待できることは間違いない。現在のところは確実にメリットのある照明部を代替しつつ、リニューアルにともなうCO2削減効果計画をじっくり詰めてゆくのが賢明だろう。


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