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ストレスフリーなセキュリティ

握手でログイン? NTTの“人体通信”製品

2008年04月28日 08時00分更新

文● 西川仁朗/アスキーネタ帳編集部

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電界を利用するセキュリティ製品「Firmo」


 NTTエレクトロニクスが新たな認証技術「レッドタクトン」を使った、オフィス用セキュリティ製品「Firmo(フィルモ)」のサンプル販売を4月23日より開始しました。

 NTTグループのマイクロシステムインテグレーション研究所が開発した「レッドタクトン」がスゴイのは、電波や光ではなく「電界」を利用することです。レッドタクトンは送信機によってデータ信号を変換した微弱な電界を体の表面に発生させ、受信機がこの電界からデータ信号を読み取ります。つまり、人間の体の表面電界を信号が伝わり、通信を行なうのです。

 具体的に言えば、Firmoのシステムを導入すると、オフィスや工場、マンションの入退時に、カギのかかったドアノブを握るだけで、認証・開錠ができます。ユーザーはクレジットカードサイズの送信機をポケットかどこかに身に付けておく状態で、受信機の埋め込まれたドアノブを触ると、微弱電波が体の表面を伝わって通信を開始し、認証を行なうというもの。認証するIDは送信機に紐づいています。「ICタグ付の社員証でもできるじゃん」と思うかもしれませんが、ポケットからいちいち出し入れしないでも触るだけの自然な操作で認証作業が行なえます。NTTエレクトロニクスは「電界を使ったセキュリティ製品は世界初」と言います。

こんな感じでドアノブを握るだけで認証できます

こんな感じでドアノブを握るだけで認証できます

 レッドタクトンの特徴として、衣服や手袋、靴を身につけたたまでも230kbpsの速度で任意の2点間の通信が可能なこと。さらに、触れた相手とその時だけ通信し、接触型のため無線LANやBluetoothといった他の通信端末と混線することもありません。

 床面に受信機を埋め込んでおけば、セキュリティ認証がかかったドアでも自動ドアのように開け閉めできますし、オフィスのプリンタにFirmoを搭載してプリントアウトした当人がプリンタにタッチして初めて紙を印刷するといった利用法で、重要文書の機密を保持したりもできます。

 今回、販売が開始されたFirmoのキットは送信機の「Firmoキー」5個と受信機「Firmoリーダ」1個、「受信用タッチプレート」と「評価用ソフトウェア」など1式で80万円です。

左がFirmoの送信機「Firmoキー」、右が壁やプリンタに埋め込む受信機「Firmoリーダ」

左がFirmoの送信機「Firmoキー」、右が壁やプリンタに埋め込む受信機「Firmoリーダ」

 2008年 5月14日~16日に開催される「第5回 情報セキュリティEXPO」のNTTコミュニケーションズのブースで実機に触れることもできるそうです。オフィスにお手軽なセキュリティを導入したいと思っている方は、のぞいてみてはいかがでしょうか?

お詫びと訂正:記事掲載当初、NTTエレクトロニクスの社名に誤りがありました。関係各位にお詫びするとともに、訂正いたします。記事は訂正済みです(2008年4月30日)。

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