バッテリー駆動時間は長いが、やや物足りない
type Gの売りのひとつが、バッテリー駆動時間の長さ。試用した店頭販売モデルの場合、付属の「バッテリーパック(L)」で最大約12時間のバッテリー駆動時間を誇っている。
また、独自の省電力技術に加えて本体に照度センサーを内蔵。周囲の照明に合わせて、液晶ディスプレーのバックライト輝度を自動調整する機能も備えている。
しかし、カタログ上のバッテリー駆動時間はあくまで目安。試用機材で実際にバッテリー駆動時間の計測を行なった。測定にはバッテリー駆動時間テストソフト「BBench」を使用。内蔵無線LAN経由でインターネットに接続し、バッテリーが切れるまでウェブ巡回を行なわせた。パソコン側の省電力設定はデフォルト設定で、ディスプレー消灯やスリープ状態への移行のみをオフにした。
テスト中の動作状態を見ていると、編集部の明るい照明の下でも、液晶ディスプレーの輝度は最大からやや下がった程度。一般的なオフィスの照明下では、バックライトが大幅に暗くなったりはしないようだ。実際の駆動時間は約5時間25分。カタログ値の半分を下回った。丸一日、ACアダプターのない環境で使うには、やや物足りない。それでも、こちらのNetbookよりは、長時間動作するのは間違いなさそうだ。
Centrino 2ベースの性能はNetbookを凌駕
今回試用したtype Gは、プラットフォームがCentrino 2ベースに一新されている。CPUのクロック周波数こそ、1.20GHzとNetbookで採用事例の多いAtom N270(1.60GHz)よりも低いが、ハイパースレッディングによる疑似デュアルコアのAtomとは違い、こちらは本物のデュアルコアCPUだ。キャッシュメモリーの量も、Atom N270の512KBに対して3MBと多い。
高性能とは言い難いが、チップセットのIntel GS45 Express内蔵GPUも、Netbookの多くが搭載するIntel 945GSE Expressより世代が新しい分だけ高速だ。下はWindows VistaのExperienceインデックスの値。それほど速いものではないが、Atom Z530(1.60GHz)とIntel US15Wチップセットを搭載するNetbook「Inspiron Mini 12」のExperienceインデックスと比べると、いずれもやや上回り、「プロセッサ」の値はかなり差が付いている。
Vista Experienceインデックス | ||
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テスト項目 | VGN-G3KANB | Inspiron Mini 12 |
プロセッサ | 4.4 | 2.9 |
メモリ | 4.7 | 4.3 |
グラフィックス | 3.2 | 2.9 |
ゲーム用グラフィックス | 3.3 | 3.0 |
HDD | 4.6 | 4.3 |
PCの総合性能を測る「PCMark05」の値も、Mini 12をいずれも大きく上回っている。
PCMark05 | ||
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テスト項目 | VGN-G3KANB | Inspiron Mini 12 |
PCMark | 2105 | 1014 |
CPU | 2005 | 1403 |
Memory | 2192 | 2205 |
Graphics | 1032 | 243 |
HDD | 3719 | 2703 |
ベンチマーク以上に重要なのは、type GならWindows Vista Businessを動かしても快適だという点だろう。編集部で一番多くのNetbookに触れている記者にtype Gを触ってもらったが、NetbookでVistaを使ったときのような重さは、type Gでは感じないと感心していた。ビジネス環境ではまだまだWindows XPが主流であろうし、Windows XPならばNetbookでもそれなりに快適に動作する。しかしtype GならVistaだけでなく、その次に控えるOS「Windows 7」でも、快適に使えると期待できる。これはOSの移行期には嬉しいメリットだろう。