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「今年も暴れます」――イー・モバイル2009年新戦略を聞く

2009年01月27日 16時00分更新

文● 西川仁朗/トレンド編集部、撮影●岡田清孝

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2009年もやはりスマートフォンを盛り上げる

 今年はAndroid端末の登場などもあり、スマートフォンに盛り上がってほしいですね。我々がAndroid端末を展開するかは否かは現時点では決まっていません。これまでは先行し、ある程度OSとしては成熟していたWindows Mobile端末を採用してきました。しかし、Windows Mobileに固執するつもりはありませんし、新しいプラットフォームで展開することも視野に入れていきます。

 ただ、新しいOSの端末を新たに開発し、イー・モバイル用のものを細かなところまで作り込んでいくのは正直我々の規模では難しい。HTCにとってTouch Diamondがそうであったような、「グローバルメーカーの戦略端末」を日本市場にいち早く導入するといったアプローチにこそ、我々の強みがあると思っています。OSにこだわりませんが、スマートフォン市場で暴れて存在感は出していきたいですね(笑)。

阿部副社長。自身はスマートフォンという言葉は「あまり好きでない」と述べる。確かに、Touch Diamondでも、「タッチケータイ」といった打ち出し方をしていた

 我々の課題としては、スマートフォンならではのアプリケーションをインストールして、自分なりにカスタマイズできるという特性が十分打ち出せていないことです。「WMWifiRouter」というWindows Mobile端末をWi-fiのモデムとして使えるソフトは非常にご好評をいただいていて、ダウンロードされる全ソフトの中でかなりの割合を占めています。こういった人気のコンテンツもありますが、まだまだ十分な数ではありません。ゲームはケータイに欠かせないコンテンツの1つと考えており、Windows Mobile向けに国内初のMSXゲームの配信などを行なっていますが、こういった取組みもまだまだ打ち出せていないというのが正直なところです。スマートフォンをもう一段階浸透させていくためには、ゲームができることのアピールが重要だと思っています。

 もっとも、私自身は「スマートフォン」という言葉自体がマーケットで少し浮いてしまっているように感じています。お客さんに分かりにくいので、言葉としては使わないほうがいいように思うこともありますが、実際には店頭で使っていますね。例えば、「おサイフケータイの機能は付いてますか?」と聞かれたときに、「スマートフォンなんでできません」と言うと納得してくれることもありますし(笑)。

 ただ、多くの人に受け入れられるためには、なるべくケータイの派生としてスマートフォンを見ていただいたほうが分かりやすくていいのではないでしょうか。最近はケータイも機能をたくさん詰め込むだけでなく、シンプルに機能をそぎ落として特徴を前面に出す端末が生まれています。我々も「PCとのデータの同期に強い」といった点や、「快適なフルブラウザー」といったスマートフォン端末ごとに、強みを強調して打ち出していきたい。

イー・モバイルのHSPAの基地局にあるアンテナ

 それから、今年はインフラ投資にこれまで以上に力を入れていきます。他社よりもスピードにこだわってきたネットワーク品質は今年も競争差別化に繋がるポイントです。エリアの狭さが指摘されていますが、ユーザーの大半がいる首都圏や関西圏はかなり充実してきています。今年の一番の課題は東京の地下鉄になるでしょう。まだ地下鉄は「白山」「千石」「巣鴨」の3駅しか対応できていないわけです。電車の数の多さや置く場所がないといった、我々だけではなかなか解決できない問題があるのが難しいところですが……。

 我々としてはデータ通信のマーケットと音声のマーケットの組み合わせを狙うのはもちろん、新しい領域を狙う必要があると思っています。例えば、家庭の中に普及している家電がネットワークと繋がることで、さらに便利な生活が送れるようになるといったことも今後起こり得るわけです。そういった新たなサービスなどが生まれたときに、我々のインフラの強みが活きるのではないでしょうか。

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