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時事ニュースを読み解く “津田大介に聞け!!” ― 第28回

「小室哲哉」逮捕で露呈した、著作権の難しさ

2008年11月11日 23時30分更新

文● トレンド編集部、語り●津田大介(ジャーナリスト)

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津田氏
津田大介氏

 4日、音楽プロデューサーの小室哲哉容疑者が、詐欺の疑いで大阪地検特捜部に逮捕された(関連記事)。90年代の音楽シーンを盛り上げてきた立役者が逮捕されたことに衝撃を受けている人も少なくないだろう。

 自作曲の著作権を譲渡すると投資家に持ちかけて、5億円をだまし取ったという容疑だが、なぜ投資家は小室氏の話を信じてしまったのだろうか? 著作権に詳しいジャーナリストの津田大介氏に話を聞くと、音楽業界の慣例や著作権法に「落とし穴」があることが分かった。



「財産」と「人格」というふたつの著作権


── なぜ、投資家はだまされてしまったのでしょうか?

津田 原因のひとつに、誰が著作権を持っているのかが分かりにくいということが挙げられると思います。

 同じようなシンプルな詐欺事件を、例えば土地で起こそうと思ったら無理です。登記簿を見れば、その土地の所有者が分かりますから。特許も同じで、特許庁への登録が必要です。その特許を譲渡しようと思ったら、再登録が必要になる。

 一方、著作権は何かを作った時点で発生する「無方式主義」を採用するように、国際条約で決められています。同じ知的財産でも特許権や意匠権、商標権などは「方式主義」で、特許庁に登録しなければ権利として発生しません。ここが大きな違いで、要するに著作権は何らかのデータベースに登録することが必須ではないんです。

 著作権には、「著作財産権」と「著作者人格権」の2種類があります。財産権は、複製や貸与、ネットで公開といったような、著作物でビジネスをするときに必要になる権利です。人格権は、自分が作者であると名乗ったり、作者の意図しない改変を防ぐための権利ですね(JASRACの解説ページ)。

 人格権は文字通り著作者本人の精神的な部分を保護する……、言い換えれば、「著作者本人が嫌な気持ちにならない」ための権利です。そのため人に「譲渡」することはできません。今回問題になった著作権譲渡というのは、著作権のうち著作財産権を二重・三重に譲渡したかどうかという話です。

著作権には「財産権」と「人格権」がある

── ちょっと、ややこしい話ですね……

津田 もっとややこしいのは、同じコンテンツビジネスでも分野によって著作権の扱いがバラバラなことなんですよね。

 例えば出版業界では、何か単行本やムックを執筆した際、販売部数に応じた印税ではなく、財産権を譲渡して一定の金額をもらう「買い取り」みたいなケースもよくあります。そういうケースでも「著者」名に執筆者の名前が書かれたりもするのです。

 こうしたケースでは「執筆者」(著者)と「著作権者」が異なることになるわけですが、外部の人間が見たら、本に著者として名前が書かれている人が著作権を持っていると思ってしまうでしょう。特許のように登録を調べれば著作権者が分かるわけでもありません。

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