広いダイナミックレンジと高感度
フラッグシップ機EOS-1Ds Mark IIIと同じ解像度を持つEOS 5D Mark IIのCMOS撮像素子。どちらも同じ14bit信号で処理している。連写速度などボディー性能に関しては、当然フラッグシップのEOS 1Ds Mark IIIに劣るが、DIGIC 4との組み合わせで画質そのものに関してはいい。EOS 5Dと比較するとダイナミックレンジが広がり、ハイライト側の粘り、シャドー側の階調感ともに優秀だ。
今回の使用にあたっては「高輝度側・階調優先」設定はOFFにしたままでもハイライト側で諧調の急激な破綻は見られなかった。特にシャドウ側の黒に落ち込むギリギリの描写あたりはキヤノンユーザーでない自分もかなり惹かれてしまった。
設定の中に新たに設けられた「レンズ周辺光量自動補正」設定は、最新のレンズを持っていない昔からのキヤノンユーザーにはうれしい機能だろう。
デジタルカメラ時代以前に設計されたレンズだと、撮像板の周辺部における光の入り方までは考慮に入れてはいない。そのため、フィルムに対しては十分なイメージサークルと周辺光量性能だとしても、35mmフルサイズCMOSでは画像の周辺部で落ちることがある。フィルム時代からのキヤノンユーザーが、デジタルカメラへの乗り換えるに当たっての不安が1つ解消された。
では、従来機から大幅に向上したISO感度を見てみよう。
さすがにH2(ISO 25600)時では縞状のノイズが派手に見受けられるが、これもRAWで撮影し、現像時のパラメーターを追い込むことで症状は緩和できるかもしれない。
常用ISO 6400は伊達ではなく、画素数が2110万画素にCMOSの素性のよさ、そのダイナミックレンジの広さと、DIGIC 4の画像エンジンの性能を随所に感じられる作りとなっている。
EOS 5D Mark IIを触った時間は短いものだったが、その中でも充分に以前からの進化の具合は体感できた。特に高解像度と広いダイナミックレンジは垂涎の的である。レンズキットで40万円弱。ボディ単体では30万を切る販売価格は、連写速度こそかなわないもののニコンD700をどちらも下回りバーゲンプライスだと思うほかない。