理由#3 共有コンテンツは増加、でも見る側が閉じこもっている
―― 「持ち出せるイメージング端末」ということであれば、ケータイやデジカメの液晶パネル、フレキシブルディスプレーなどが可能性としてはあったと思います。
加藤 ケータイなどのポータブルデバイスでは、ディスプレーはせいぜい3型くらいですよね。それよりは大きくできないわけですが、あの大きさだと、テキストやきめ細かい映像など、判読しづらいものができてくる。
フレキシブルディスプレーという考え方もありますが「よっこらしょ」と取り出すタイミングはやはりあるわけで、コンテンツの即時性が損なわれてしまうことがあると思うんです。それに「片方の目でモニタリングする」という方法により、メディアが現実とリンクした新しい使い方ができるのではないかと。
―― 2ちゃんねるの「実況スレ」とテレビ番組を同時に観られる「ANOBAR」など、1つのメディアを他メディアとリンクさせるという考えが徐々に注目されはじめているようです。
加藤 そうですね、個人がだんだんと発信していく機会が増えているということなんでしょうね。今はそれを家の中で、パソコンかテレビの前に座っている状態で受信している。でも、本当は家の中で向かいあうのは「人」であるべきなのかもしれない。
情報取得のタイミングは、ちょっとした余暇でもいいのではないかと。ケータイもパソコンもそうですが、没入感が非常に強いんです。そこだけしか見られなくなって、周りとのつながりが切れてしまいますよね。
―― 今回「デジタルイメージングブランド」というコンセプトを全面的に打ち出されていますね。
加藤 カメラを始めとした「モバイルデバイス」としてのニコンのブランドイメージを、入力から出力までのすべてに広げる、というのが考え方としてあります。入り口からネットまで広げてきて、最後の「出口」までしっかりブランディングしていこうと。
とはいえ、このプロジェクト自体もまだ本当に発進したばかりの段階です。製品そのものは12月中旬発売ですが、お客様の声をしっかり聞きながら、より良い形で今後のUPシリーズを作っていければと思っています。
―― ありがとうございました。