このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

試作機も順調

Androidビジネスは、こうして普及する

2008年10月17日 04時00分更新

文● 吉川大郎/企画報道編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

Android普及に欠かせないもの

三浦氏写真

アイ・ピー・ビジョン 取締役 三浦雅孝氏

 とはいえ、三浦氏が固定電話にこだわるのは、機能だけが理由ではない。むしろ、ビジネスフォン市場/固定電話市場というマーケットに可能性を見いだしているからだ。

 「ビジネスフォン市場は、日本だけで30~50万台、世界規模だと300~500万台。まだまだ需要はある。全世界を考えれば、2000億円を上回る市場です。5%のマーケットシェアを考えても100億円の市場です。そのくらいのマーケットのサイズであれば、ビジネスができる」。

 マーケットの大きさだけではない。想定されるビジネスのありようも、魅力的だ。「目指すのはエンタープライズのシステムです。このAndroid搭載ビジネスフォンは、あくまでもプラットフォーム。この上にSIerがシステムを構築してくれればいい」

 たとえば、日本Android協会の設立時には、約300人ほどの人々が集まっていたが、誰もがまだ、会社の肩書きを出さないでいた。現在はまだ、情報収集の最中ということであろう。ゲーム会社をはじめとしたコンテンツプロバイダにしてみたら、携帯電話市場である程度Androidが浸透してプラットフォームが成立しない限り、参入はできない。

 つまりキャリアの対応にかかってきているわけだが、いっぽうのキャリアも、「まだ様子見でしょうね」というのが三浦氏の見解だ。Androidでできることはたくさんあるし、アイデアも面白いものがある。しかしプラットフォームがなければどうしようもない。「可能性はみんな語るが、市場が50億や100億にならないと参入できない。ビジネスWGとしてはそういう動きをしていかないと、夢物語になってしまいます」

 iPhoneであれば1年後には30~40万の市場のマスがある。それならば、たとえばソフトウェアベンダーもディストリビューションできる。対してAndroidは、「具体的にはこれから。エンタープライズの企業が担いでいく動きが出ないと、エンジニアのお遊びになってしまう」

そこで三浦氏が推進するのが、「CallSmart/Androidプロジェクト」である。これは、次世代ビジネスフォン向けの共通プラットフォームを、Androidをベースにして提供しようというものだ。すべての成果はオープンソースとして公開されるという。

スライド1

「CallSmart/Androidプロジェクト」の理念

 また、単にAndroidとビジネスフォンを結びつけるだけでなく、企業内情報システムとの連携を実現し、電話機の情報端末としての機能を実現していく。これにより、ビジネスフォン向けのアプリケーション市場を作り上げようという試みだ。携帯電話市場ももちろんだが、遙かに参入障壁の低いビジネスフォン分野であれば、マーケット創出のチャンスがあるという三浦氏の考えが、具体化された動きである。

 Androidはどうなるのか? 誰もが口にする疑問に、アイ・ピー・ビジョンは行動を伴って答えを出そうとしている。

■関連サイト

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ