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試作機も順調

Androidビジネスは、こうして普及する

2008年10月17日 04時00分更新

文● 吉川大郎/企画報道編集部

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 西新宿。高層ビル街の外れに位置するアイ・ピー・ビジョンは、Android搭載電話機を開発中だ。そのモックアップは、多くの人が抱くであろうAndroid搭載電話機の姿とは異なり、なんと固定電話。ビジネスフォンのプッシュボタン部分がくりぬかれ、代わりにタッチパネル液晶が据え付けられている。

 アイ・ピー・ビジョンは、SIPサーバ「CallSmart」の開発、販売を主な業務とする企業だ。お話をうかがった取締役 三浦雅孝氏は、業界経験20年以上のベテランである。そのためか、日本アンドロイドの会=JAG(Japan Android Group)ビジネスワーキンググループのリーダーを務め、Androidビジネスへの含蓄の深い意見もお持ちだった。

Androidの本質は携帯電話に非ず

開発環境

Androidの開発環境。ARM11の評価ボードを中心に、タッチパネル付きモニタなどが並ぶ

モックアップ

プッシュボタンや表示パネルが丸ごとくり抜かれたAndroid電話のモックアップ。あるべき場所にあるべきモノがなく、どこかのっぺらぼうに似た寂しさを感じるが、液晶パネルに光がともれば、その印象はまったく逆になるだろう

 

「画面部分(タッチパネル)を全部アンドロイドで動かします。液晶パネルもカーナビ(が大量生産されている)のおかげで安い。従来のビジネスフォンと同じ価格帯の、4~5万円で出せるでしょう」(三浦氏)。

 三浦氏が開発を進めるAndroid電話は、固定電話だから、24時間接続しっぱなし、電源も入りっぱなしだ。もちろんAndroidのアプリケーションはすべて動くから、たとえば企業の受付け用のアプリを書けば、そのまま受付け電話になる。社員の机上に置いておき、LDAPでサーバに接続すれば、内線表を更新する必要もない。さらに内線の先にいる人のステータスを表示する仕掛けだって整えられる。メールに記述しているシグネチャから住所であろうと思われる文字列を拾い出し、Google Mapsのストリートビューを表示し、それを外出先の営業部員にメールしてもいいだろう。

 また、オフィス意外でも、家庭内のインターフォンとして使用できるし、アプリケーション次第ではオーダーエントリも実行可能だから、フランチャイズ本部への接続を前提として、コンビニなどの店先に置いてもいい。

Android搭載ビジネスフォンのソフトウェア部分。プッシュボタン画面の下には、さまざまなアプリケーションへのショートカットアイコンが置かれている。右は電話の履歴

当然の事ながらGoogleも使える(左)。右画像は電話帳リスト。固定電話で携帯電話と同じアプリを使えるというのは斬新だ

 いずれにせよ、ビジネスフォンならではの、さまざまなソリューションが展開可能というわけだ。

次ページ「Android普及に欠かせないもの」に続く

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