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桜子のビジネスリーダーズインタビュー 第5回

IT業界で働く桜子のビジネスリーダーズインタビュー

メディアを取り巻くカンブリア爆発

2008年10月14日 04時00分更新

文● 桜子(Interviewer&blogger)

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ダメダメ社員だった大手広告代理店時代

桜子 社会人に向いてないと悩んだことがあった!? いや、実を言うとね、私もよく岡本さんみたいな人が社会人やってるな~と思っていたんですよ。

 彼の表情が若干ムッと変わった気がしたが、話は淡々と続いた。

岡本 もうだいぶ前の話だよ。5、6年経って人がフォローしてくれる立場になると、得意な所だけやっていれば仕事は廻り始める。

桜子 じゃあ、新人の頃は苦労した!?

岡本 メチャメチャ苦労した(頷く)。

桜子 苛められた?

岡本 苛められた、苛められた(頷く)。

桜子 岡本ダメじゃんって言われた!?

岡本 アイツ使えねーなーって(頷く)。

桜子 凹みましたでしょ?。

岡本 凹んだ、凹んだ(頷く)。

 矢継ぎ早の質問に編集部が見かねたらしく、笑いながら待ったをかけられた。しまった、突っ込み過ぎちゃった。

桜子 いやね、意外だったの。だって私の知る岡本一郎はエリートなんだもん。カメレオンみたいに時代の波に乗ってどんどん仕事を変えて優雅な暮らしをしている。まさに『生き上手』そのものなんだもの。

 一般的に言って次々と転身を図り立場が向上していく人というのは、自己実現に一生懸命で、ギラギラした強いイメージがつきものだが、私の知る彼はいつもヒョウヒョウとしていて、そういった世界に無関心に見える。

 そのくせ、ふと気がつけば、軽やかに身の置き場所を変えていて、次々と新しいことに挑戦している。今回の出版化もそうであったが、私はいつもあとから彼の情報を知って驚かされてきた。もっとも、職場での彼を私は見ていないので、働いているときは違う雰囲気かもしれないが。

岡本 でも苦労したよ。会社辞めようかという余裕すら当時なかったもん。あのさ、代理店にいたでしょ。そこで超大手のクライアントチームに配属されたから、末端の仕事が全部自分に降りてきたわけ。それで(俺がやると)全部滞る、もしくは間違いなく事故が起こったから。

 コピーを頼むと逆さになる、もしくは一番最後のページがコピーされていない。見積りを作ると桁が違う、ファクスでは送り先を間違える、先輩からは怒られる毎日で大変だった、という。

桜子 でもそれがあったから転職したわけじゃないでしょ?

岡本 違う。俺の転職の基本ポリシーは、状況が悪いときに転職しちゃ絶対だめ。この会社でもっと活躍したいという状態で、した方が上手くいく。広告代理店を辞めたときは、すごく楽しかったの。

桜子 じゃあ、辛かった時代を乗り越えたんだ!?

岡本 というか、チームを変えてもらったんだよね。物凄い大きなチームで歯車として動く所から、物凄い小さなクライアントを一人で全部任せてもらう仕事になったの。いわば生え抜きに抜擢されやすいチームを外され……。

桜子 落ち込むねえ?

岡本 ……そこを落ち込まないというのが俺なのか、よかったぁって。もうつまんない作業しないですむって。全部一人でやるようになってからは仕事の全体像が見えるようになって、そこからピタッと事故がなくなったんだよね。

桜子 じゃあ、上司がビックリしたでしょう。アイツ、出来るじゃないかって。

岡本 何より良かったのはクライアントがすごく大事にしてくれたことだね。そうするとアカウント(得意先)が増えて利益が出るし、数字は伸びるから局長が来る。するとおもしろい話なんだけど、俺を大きいチームに戻そうという話が来たんだよね。でももう嫌だった。仕事が楽しかったからね。で、大きいチームに戻ったらスゲーつまんないから辞めちゃった。でもこれジレンマなんだよ。15年位待って現場のボスになったら楽しいのかもしれない。

桜子 だとしたら、戻る機会はありますよね?

岡本 戻らないよ。だってこれ、本で書いたとおり、これからのマスコミ大変だもの。

次ページ「これからのメディア業界で伸びるのはどこ?」に続く

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