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2008年09月24日更新

IT業界で働く桜子のビジネスリーダーズインタビュー

今、ネット社会に何が必要なのか!?

文●桜子(Interviewer&blogger)

ライターでもない、記者でもない一介の女子社員が、IT業界を含め、各界の著名人に体当たりインタビューをして話題を呼んだブログ「VIVA!桜子の超気まま日記」。ASCII.jpでは、ブロガー桜子氏に超気まま日記のASCII.jp版インタビューをお願いした。経営戦略の話よりも、もっと身近な、仕事への考え方や生活スタイルについて、桜子氏が聞く連載第4回目。

飽戸弘氏

 とある日曜日、吉祥寺駅で天才アインシュタインに似た風貌の男性を発見した。電通の「広告論文大賞」の評議員を務める東大名誉教授の飽戸弘氏だ。

 実は、私のブログ「VIVA!桜子~」では以前から飽戸先生に取材を打診していたが、多忙ゆえに難しいと言われ続けてきた。日本を代表する有識者にネット社会のパラダイムをいま聞きたい! 質問は山ほどある! そこで、おずおずと近寄り、再び取材を申し込んでみると、なんとオーケー。後日、現在副学院長かつ学長を勤めておられる東洋英和女学院大学(以下、東洋英和)へお邪魔することになった。

放送倫理・番組向上機構(BPO)の頭痛の種はインターネット

 飽戸弘氏はマスコミュニケーションやマーケティングを対象とした社会心理学の第一人者だ。高度経済成長期、飽戸氏の国際比較や広告効果研究は波に乗り、「人の2倍働き、3倍遊べ」をモットーに国内外を行き来していたそうだ。テレビや新聞に関する提言を行なっていたという。

 そして73歳の現在。昨年東洋英和を定年退職……のはずが、学長選挙に当選し大学に留まることになった。教授時代に2年連続好きな教授No.1の座に輝き、今秋からは学生の要望により教壇にも復帰することになったという。放送倫理・番組向上機構(BPO)理事長、日本行動計量学会理事長など各組織の長も務めている。いわば最先端メディアと共に歩んできたと言える飽戸氏に、まずは通信と放送の融合に関してどんな意見をお持ちか聞いてみた。

飽戸 それが一番頭の痛い話なんですね。僕はテレビ・新聞時代の研究者。東大の研究時代はまだインターネットが始まったばかりで縁がありませんでした。東洋英和に移ってその後数年インターネットが爆発的に伸びてきたわけですが、ネットがこれだけの影響力を持つようになってくると、これはもう対応せざるを得ませんでした。広告研究でも、テレビや新聞に比べたらインターネットは問題にならないと無視していましたが、こちらもインターネットを無視して考えられなくなりました。広告そのものが変わってきているわけですね。

 「One to Oneマーケティング」、特に「Amazon.co.jp」の「レコメンド機能」については驚きを禁じえないという。

飽戸 僕なんかね、月に1回程度、新刊の紹介が来るんですけど、見たら買わずにはいられない(笑)。

桜子 お勧めされたとおりに買っちゃうんですね、アハハ。

飽戸 すごい! と思っちゃいましたね。あんまり買うから今度は売ってくださいっていうメールがきます(笑)。

 ここで少し飽戸先生が携わる放送倫理・番組向上機構(BPO)について触れよう。その名が知れ渡ったのは、数年前のフジテレビ番組「発掘!あるある大事典2」の放送データ捏造問題。この捏造に関する声明を出したのがBPO、つまりNHKと民放の全番組の放送内容について、最高裁的役割を担う第3者機関だ。そして近い将来、このBPOが「インターネット」を問題とせざるを得ない状況になるだろう。

飽戸 番組放送後に、「2ちゃんねる」などに書き込まれた内容に傷ついたと苦情が寄せられるんですね。

 当初BPOでは、インターネットをその活動の対象から除外していたという。しかし、新聞社やテレビ局がホームページに動画を出し、インターネットから流される昨今、対応を考えざるをえなくなるだろうということだ。

飽戸 新聞社やテレビ局がインターネット上に動画を出しますね。面白いニュースは放送終了後もずっと載せている。BPOでは(訴えを出す場合には)年限があるんですが、それを過ぎてもインターネットに残っていると、中身もテレビ放送と同じ内容なら、これはもうテレビそのものだという考えも成り立つ。今検討しているんですけれども、インターネットが入ってくると膨大な量になってくるわけです。とても今のBPOの人員と委員会では手に負えない。テレビとインターネットの融合というのは、まったく新しい時代が始まるということですね。

 「Yahoo! JAPAN」や「MSN」、「Infoseek」と言ったポータルサイトが世に生まれた時、広告業界ではインターネットメディアを「第5のメディア」、あるいは「ニューメディア」と呼んだ。マス4媒体(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)にインターネットという新しいメディアが加わるという意味だ。しかし、ことはそう単純に整理されていない。

飽戸 インターネットがテレビであり新聞であり……という時代に入っている。だから、テレビも新聞もインターネットに合わせて変わらなくちゃいけない。そういう大変な時代です。

次ページ「メディアのあり方――インターネットのプラスとマイナスの面」に続く

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