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デザイナー、ヤン・チップチェイス氏インタビュー

日本から学ぶ、10億人が使うノキアのケータイ

2008年10月10日 13時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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日本でのケータイ観察の一コマ

 チップチェイス氏は、日本の特徴が表れたケータイ利用シーンを紹介してくれた。

アラーム機能

 「海外ではアラーム機能は1つで十分という声が聞かれます。しかし、日本では複数のアラームをセットできることが期待されています。なぜなら多くの日本人がケータイを目覚まし時計代わりに使っているからです。通勤時間が長く長時間労働が一般的であるため、1回しか鳴らない目覚ましでは不足。電源がOFFの時にもアラームの時刻になると電源がONになり、アラームが鳴ってくれる機能は、日本での観察から端末に盛り込みました」

時計

「路上のインタビューの途中で、今何時ですか?、と聞くと、腕時計をしている人もポケットからケータイを出して時刻を確認します。昔は腕時計で時間を確認しましたが、今その役割は完全にケータイに移りました。腕時計を付ける理由はファッションだったりステイタスシンボルになりつつあります。ケータイを持つ理由も将来変わるかもしれません」

ポケットに挟むケータイ

「日本で見つけた非常に実用的なケータイの持ち方に、折りたたみケータイをズボンのポケットに挟むスタイルがあります。グローバルな統計で、61%の女性はケータイをハンドバッグに入れています。しかしそのせいで、50%の女性が着信に気付かないことがあるそうです。60%が右の前ポケットに入れて持ち歩いている男性は、30%の不在着信で済みます。ケータイをズボンのポケットに挟む持ち方は、ケータイに対するアクセシビリティーを高めて不在着信を防いでいます」

ケータイをポケットにはさんでいるところ

 確かに僕自身、目覚まし時計があったとしても、ケータイを枕の近いところに置いている。ノートPCを使うときは腕時計を外してしまうので、時間はケータイで見るようになった。ケータイをポケットで挟むのは、折りたたみ型が人気の日本ならではの持ち方。一時期、流行ったスキニージーンズのポケットに挟めばケータイの厚みが半分で済む実用性がある。

 こういった観察を世界中で展開しているのだから、端末デザインに対して非常に多くの知恵が詰め込まれている点もうなずける。

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