特徴はハンドル! 実際に持ってみました
Fの魅力は「高性能」だけではない。いくらパワフルになっても、本体が持ち運びしにくくなってしまっては、ビジネスモバイルノートとしては失格だ。高性能とモバイルを両立するという難題を解決するために、Fでは、本体にハンドルを取り付けるという斬新なアイデアを採用した。
このハンドルは、実はユーザーからの要望を受けて実現したものだ。同じLet'snoteで14.1型液晶を備えた「Y」は、重量が約1.51kgと軽いものの、筐体サイズが大きいためやや持ち運びしにくいという意見があった。Fは、その声に応えるべく誕生した製品だ。
ハンドルを付けるというアイデアは、まさに「コロンブスの卵」的な発想だろう。パナソニックは、業務用のタフモバイルノート「TOUGHBOOK」で、ハンドル付きマシンを開発しており、そのノウハウがFにも注ぎ込まれている。このハンドルの装備で、持ち運びやすさが格段に向上。Fの重量は約1.63kgだが、ハンドルを持つとその数字よりも軽く感じる。
特にこのハンドルが役立つのは、社内でちょっと移動したいシチュエーションだろう。
例えば、自席から会議室に移動する際に、ノートパソコンだけでなく、書類や配布用のプレゼン資料なども一緒に持ち歩かなくてはいけない場面が考えられる。これまでのノートパソコンでは、大量の書類を抱えながら持ち歩くのは大変だった。Fなら片手でハンドルを持って移動できるので、もう片方の手でドアノブを回すことも簡単だ。ノートパソコンを書類の上に乗せたり、脇に抱えて運んだりすると、うっかり滑り落としてしまう可能性があるが、ハンドルを持って移動できるFならその心配はない。
会議室でも液晶ディスプレーが大きいFは有利だ。議事録を取る場合は、右側に資料を置いて照らし合わせながらメモを打ち込める。ワイド画面は、横長のエクセル書類などでは威力を発揮できるだろう。もちろん、ディスプレー出力端子(D-sub15ピン)が付いているので、プロジェクターにつないでプレゼン資料を出力することが可能だ。
このディスプレー端子は、自分の机に戻ったら、液晶ディスプレーにつなぐ用途に使える。本体側の画面と合わせてデュアルディスプレーを実現することで、複数の書類からデータを抜き出して、ひとつのエクセル書類にまとめるという作業の効率がグッとアップするだろう。その際、オプションのミニポートリプリケーター「CF-VEBU08U」(価格は2万1000円)を用意しておけば、マウス、キーボード、プリンター、有線LAN、液晶ディスプレーをワンタッチでつなげるようになるので、よりデスクトップパソコン感覚で仕事ができるだろう。
小さなハンドルに込めた、開発陣の大きな思い
パナソニックはF8に「デスクトップPC並みの高性能を自由に持ち運ぶ」というキャッチコピーを付けている。この売り文句を実現しつつ、ユーザーに長く、快適にLet'snoteを使ってもらうために、開発陣の惜しみない努力が投じられてきた。
「タフノートPC『タフブック』で培ったノウハウを活かし、ハンドルが絶対取れないように数々の強度試験を行なっています」とは、機構設計チームで活躍する中谷仁之氏の言葉。同じチームの金子晴香さんは「高性能なCPUを入れても本体の温度が上がらないように、パームレストにPETシートを貼っています」と語る。ひとつの新製品を立ち上げる裏には、さまざまな工夫と苦労が隠されているのだ(詳細はこちらの記事を参照)。