プラグインの組み込みでさらに発展
以前のApertureは、RAW現像ソフトとして画質にこだわっていたものの、調整機能は色や輝度に関するものが中心。高品質な写真現像機能のみを提供し、それ以上の画像編集作業は「Adobe Photoshop」などほかのソフトを使うのが前提だった。しかし、バージョン2.1から、オープンプラグインアーキテクチャーの採用と、プラグインを開発するためのSDK(開発キット)を提供したことにより、これまでとは環境が一変するはずだ。
具体的には、編集APIの提供により、Apertureからダイレクトにサードパーティー製の画像編集プラグインを使える仕様が実現した。ユーザーが望むプラグインを組み込んで使うマザーアプリケーションとして機能するのだ。
バージョン2.1には、アップル純正のプラグイン「覆い焼きと焼き込み」がプリインストールされている。これは、ブラシツールでなぞった部分だけを明るく(覆い焼き)したり、暗く(焼き込み)したりできる。サチュレーション(彩度)やブラー(ぼかし)などの調整もブラシツールでなぞった部分だけに適用できる。このように画面の一部にだけ効果をかけるプラグインだが、特筆すべき点はブラシストロークは最終的に効果を確定するまで独立して保持され、何度でも消したり部分的に修正したりといった、自由度の高い編集作業が行えることだ。
覆い焼きと焼き込み
バージョン2.1に含まれるプラグイン。覆い焼き(明るくする)、焼き込み(暗くする)、彩度の調整、ブラー(ぼかし)やシャープなどの効果をブラシストロークで付加する。最大の特徴はストロークが自動的にマスクのように作成され、効果の削除や修正が自在という点だ。図は左から元写真、覆い焼きのオーバーレイ表示、効果適用後
すでにこの編集APIを生かした、ハイエンドな画像処理を施すツールが次々と登場しており、さながらハイエンドプラグインのプラットホームの様相を見せている。例えば「Light!」というプラグインは光のイメージパターンを多数用意しており、格子窓や飾り窓越しに漏れた光が差し込んでいるかのような光の陰影を作り出せる。
Light!
中には、Aperture本体よりも高価な完全にプロ向けのプラグインもある。一方で、小粋なフレームを付けて書き出すといった小ワザ系のフリーウェアも存在する。体験版で試して、自分のニーズに合ったプラグインを探すのも楽しいだろう。
Tiffen Dfx Digital Filter Suite
Ozone
Aperture BorderFX
Aperture2Gmail
FlickrExport for Aperture
Power Stroke
写真の一部にカラー調整やぼかし、光線のにじみといった効果を加えるプラグイン。この手の作業で最も手間のかかる範囲選択が高精度に自動認識され、修正可能なベジェマスクを作れるのが特徴。範囲作成は、投げ縄ツールで適当に選択して、ベジェポイントツールで修正する。エフェクトごとにベジェマスクを複数作成できるので、複雑なエフェクトをわかりやすくコントロールできる。米デジタルフィルムツール社の製品で、価格は120ドル
Viveza
米ソフトウェアニック社が開発した特定の範囲だけにカラー調整を行うプラグイン。マスクを作成するのではなく、コントロールポイントを設定してその周囲に効果をかける。ベジェマスクのような厳密な範囲選択には向かないが、直感的かつ操作性の高いインターフェースが特徴。日本では(株)ソフトウェア・トゥーが販売しており、価格は2万7300円
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