Micro Presenceの応用
撮影データにはピントの合致した位置に関する情報があるので、そのピントが合っているパーツの3次元座標データをとることができる。この情報を応用すれば3Dモデリングも実現可能だ。その研究しているのが、慶應義塾大学政策・メディア研究科の学生で、STU研究所で小檜山氏と活動している森田正彦氏。
──CTスキャンのような輪切りの画像に「Micro Presence」の高精細画像を組み合わせると、表面の色つきのテクスチャーを持ったデータを作成できる。このデータは、バーチャルに観察や実験を行うことができるリアルな材料となる。例えば、歴史的価値のある発掘物などでも表面を持った輪切り画像が作れるので、そのものを壊すことなく内部構造を把握することができる(森田氏)。
このようにSTU研究所では、技術をコラボレーションさせながら、より実用的なバーチャル実験室を充実させていくという。 「Micro Presence」は現在、東京・初台にあるNTTインターコミュニケーションセンターに展示されている。また小檜山氏の著書、「虫をめぐるデジタルな冒険」(岩波書店刊)でも、その表現に触れることができる。夏、昆虫の活動も活発になる季節に、自然の中でデジタルについて考えてみるのも、いいかもしれない。
ゲスト紹介
小檜山賢二(左)
工学博士。NTTワイヤレス研究所でPHSの開発に携わる。その後'08年3月まで慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授として教鞭を執る。現在は「STU研究所」を開設し、大学にいるころからの研究テーマであった「Micro Presence」に取り組む
森田正彦(右)
慶應義塾大学政策・メディア研究科の学生。STU研究所で小檜山氏と活動する
(MacPeople 2008年8月号より転載)
この連載の記事
-
第10回
iPhone/Mac
セカイカメラは人の思考をつなぐ 頓智・井口尊仁氏 -
第9回
iPhone/Mac
オープンリールを「楽器」として再発見──和田永氏 -
第8回
iPhone/Mac
面白さ、デジタル化しています──カヤック柳澤氏 -
第7回
iPhone/Mac
アートは日常の再発見──ICC 四方さん -
第6回
iPhone/Mac
ソフト開発を「できない」から始めない──木下誠氏 -
第5回
iPhone/Mac
アニメの原点に戻る──「崖の上のポニョ」と奥井氏 -
第4回
iPhone/Mac
遊びを誘発する箱──「Pixel Factory」と岡田氏 -
第3回
iPhone/Mac
アナログシンセは同志──「モーグIII-C」と松武氏 -
第2回
iPhone/Mac
TypeTrace -
iPhone/Mac
松村太郎の「デジタルとアナログの間」<目次> - この連載の一覧へ