比類なきモバイルノートを早速分解!?
type Z 解体天国:軽さとデザインの秘密は?(前編)
2008年07月16日 16時00分更新
新開発のファンで冷却性能を上げつつ静音化
――type Zの場合、CPUやGPU、HDDといった他社から納入するもの以外はすべて新規作成ですか。
宮入 実はCPUも、TDP 25Wの2.53GHzというのを、オーダーしました(笑)。
宮入 CPUもGPUも、最近は物だけでは動かないので、ドライバーの段階から最初から共同で開発しています。DDR3のメモリーも、ノートパソコンに入れるのは今回初ですから、BIOSに含まれるメモリー操作のソフトウェアも完全に新規で対応しています。
林 我々は、このマシンには25WのCPUがベストマッチだと思っています。しかし、「よりパワーが欲しい」という方のために、TDP 35WのCPU「Core 2 Duo T9600」(2.80GHz)にも対応できるよう、35W CPU向けのヒートシンクを別途制作しています。
――私が気になるのは熱なのですが。モバイルノートは膝上で使うことも多いですし、パームレストやキーボードから手のひらに伝わる熱の不快さというのもあります。
宮入 我々も熱に関しては、type S(SZシリーズ)くらいから相当に自信を持っています。こちらがtype Zの冷却機構です。SZの物と持ち比べていただくと、分かると思いますが……。
――ああ! これは全然違いますね。
宮入 サイズは小さくなりましたが、冷却性能自体は、type Zの方が上がっています。さらに、真ん中に仕切りが入った新しいブレードを導入しました。
従来は上下両方から入った空気が渦を作ることで干渉してしたのを、そこに仕切り板を作ることできれいに流れるようにして、効率を上げています。
音自体も、渦ができない分だけ静かになります。音量自体をクーリングファンの構造で下げると同時に、プレミアムマシンということで音質にもこだわっています。
――確かに、耳障りな音はしない感じですね。
宮入 アコースティックカメラという機材があります。そのカメラで撮ると、音源がどこにあるのかを可視化できるんです。この機材を使うと、どこからどのような音が出ているのか、また、周波数解析によってどこに音のピークがあるかを同時に調べられます。
これにより、ファンの辺りからここにピークが出ているというのを見つけて、そこに対策をしました。対策の内容自体はノウハウなので詳しく言えませんが、吸気を流入する流路に風切り音を立てるような形状があったので、そこに対策をすることで音のピークを落としました。
――触って熱いとか、変な音がする機械って、どうしても愛着を持ちづらいですよね。機械からの反応がよくないと、長くは使っていられない。
林 そういった面では、満足いただけるのではないかと思います。
西田 宗千佳のファーストインプレッション
type Zは、短時間使った限りだが、「非常に高いレベルで仕上げられた実用的モバイルノート」だ。普段の環境をそのまま持ち歩き、時間や場所の制約を受けずに作業を行なう、というニーズを十分に満たせそうな印象を受ける。
ライバルと目されるMacBook AirやThinkPad X300よりは分厚い印象を受けるが、手に持った感覚や操作感に優れ、バッテリー持続時間では他を大きく引き離す。さらに「世界最小のBD搭載機」にもなる。ライバルたちとは違う、独自の魅力を持った製品だ。
パソコンは良く車にたとえられる。ThinkPad X300がBMW Z4、MacBook AirがJagaur XKだとすれば、type Zはスバルのインプレッサ。あくまで私見だが、そんな風にたとえると、分かる人には分かってもらえるのではないだろうか。
後編(7月17日掲載予定)に続く。
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。 得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)がある。
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