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テクノドリームI:工学~それは夢を実現する体系

東大工学部で富野節が炸裂!ロボットの開発なんかやめましょう!

2008年06月17日 13時00分更新

文● 吉川大郎/アスキーネタ帳編集部

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 “富野節”というのは、劇中のセリフ回しに適用される言葉であろうが、富野由悠季氏ご自身の語りが、梅雨時の土曜昼下がり、東大駒場キャンパスで炸裂した。

富野由悠季氏登壇時写真
登壇した富野由悠季氏。ナマで展開される富野氏の話は、今我々が何に気づくべきで何を考えるべきなのか、その材料を示してくれた

 6月15日、東京大学工学部にて、イベント「テクノドリームI:工学~それは夢を実現する体系」が開催された。これは、富野由悠季氏をゲストに迎え、東京大学下山勲教授(情報理工学系研究科長)と同じく東京大学の中須賀真一教授(工学系研究科・航空宇宙工学専攻/工学部・航空宇宙工学科)が鼎談を行なうというもの。後半には民間企業からの参加ということで、東洋エンジニアリングの内田正之氏、三洋電機の田端輝男氏が加わった。司会は工学部広報室の内田麻理香特任教員。

中須賀教授写真
東京大学 中須賀真一教授
下山勲教授写真
東京大学 下山勲教授
内田氏写真
東洋エンジニアリングの内田正之氏
田端氏写真
三洋電機の田端輝男氏
内田氏写真
内田麻理香特任教員

 テーマは工学の未来について。テクノドリームというイベント自体、“工学の夢を新たに描き直すイベント”と位置づけられている。富野氏がゲストということで、工学そのものの立ち位置から地球環境の話まで、大いに話題がふくらんだ。東大の教授陣もユニークな顔ぶれで、中須賀教授は手のひらサイズの人工衛星や人工知能研究で知られる人物。下山教授はITとRT(Robot Technology)を組み合わせたIRT研究機構の中心として、少子高齢化解決の産業基盤を作る拠点の運営に関わっている。民間企業のお二人も東大卒。エコやエネルギー開発の現状を紹介した。

 教授陣や民間企業の方々のお話も興味深いものであったが、ここでは、富野氏の主なことばを紹介し、そのメッセージをお伝えしたい。主に工学部の学生向けに話された内容ではあるが、メッセージに込められた意義は、工学という科学の一ジャンルから発して広く普遍的なものとなっていて、おそらくは関係のない人はいないであろうものだった。キャッチーな言葉と、その言葉が導き出されてきた会話を、なるべく発言の雰囲気を感じていただけるよう再現した。会場の雰囲気を感じ取って頂ければ幸いである。

富野氏のことばその1 スペースコロニーは実現不可能?

「スペースコロニーのような構造では絶対に、1000年、2000年という単位で人が住める構造体にはなり得ない」

━━ガンダムシリーズを作っているときに、スペースコロニーを舞台にして劇を作る、つまりそこで暮らしている人を動かすということを仕事にしている。ということは、かなりリアルにシミュレーションしているというふうに、自分自身が理解できるようになりました。ガンダムを作り続けてきたために、そういう頭の構造になって来たのだと思います。━━

富野氏 10年くらい前です。「あ、スペースコロニーのような構造では絶対に、1000年、2000年という単位で人が住める構造体にはなり得ない」ということが分かりました。これが――現代の技術を持ってしてもという言い方もあるのですが――現代の最高の金属工学のようなものを利用して、お金をかけることも一切合切考えないで好きに作れると思っても、重力が1Gの円筒の筒があり、それが回って慣性重力という疑似重力を得る空間が、1000年、2000年持つのかと考えた時に、外壁の部分に宇宙線、放射能の遮蔽版まで作ることを想定して、その想定の部分で言えば外版で鉛を使わなければいけなくなってくるわけです。それも、恐ろしい話ですが、厚さが10メートルとか20メートルです。そういうものでも完璧に放射線を遮蔽出来ないかもしれない。できたとしても、基本的に慣性重力、疑似重力なのです。中が空洞のモノです。工学的に作れるモノなら作って見せてください。

 それを可能としなければいけないのは皆さんの世代です。我々の頭では、そんなモノ出来ないと思っています。そういうことから何を考えるかというと、地球という球体で、重力を、質量を保っている力を持てて、地球の表面がどの程度のスピードで移動しているかというと……音速の1.4倍ですか? 今我々の体が音速以上で移動しているのですって。(そのスピードを)感じていないだけのことで、十分感動するんです。海でもいいですし、山でもいい。シーン……としているところや水平線が見えているところの景色を、「作れるモノなら作ってみろ!」というのが地球だと思っています。

 音速を超えた速度で我々が移動している物性の中で、シーンっていう空間を手に入れられるというものを、人工的に作れるモノならば作って見せてよ。つい1週間位前に、スペースステーションで日本の「きぼう」が稼動するようになって、“エアコンが静かだからそこで寝られるようになった”というのが、我々の技術なんです。

 このようなことを想像していただけたら、つまり工学が進むべき事と、「いやあそんな事は、やっぱり工学的にはできないんだ」ということ、どちらに皆さんの感性を振るのかと言うことが一番大事な問題です。可能な部分はあると思っていますし、現実的に工学が進むべき道というのは現代の社会の中に山ほどあるのではないかと感じることができるようになりました。というのが、すみません、スペースコロニーの話をしていたのですが、こういう話になりました。

次ページ <富野氏のことば その2「ロボットの開発なんかやめましょう!」>に続く

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