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プロが使うカメラ 第1回

Jリーグカメラマンが語る、ニコンD3の実力

2008年06月09日 16時00分更新

文● トレンド編集部、聞き手●小林伸/カメラマン

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JPEG撮影の色合わせには苦労


── 俺らは貸しスタジオ上がりで、広告の写真やらファッション系やらにかかわってきたけど、時代のせいなのかフィルムをノーマルなまま使用する人は少なかったよね。みんな自分の色を出すためにフィルター入れたり増感していたりだった。

D3作例

14bitRAWで撮影したゴルフクラブの商品撮影カット。クラブヘッドからシャフトにかけての影になった黒の中にも今までには表現されづらかった階調がしっかりと残っている。写真はTIFの16bitで保存したものをPhotoshop上でトリミングし、1/3のサイズに縮小をしている。8bitのデータになるため、実際の画像はこれよりも高い階調性が出ている

草野 自分の場合、色温度いくつでフィルムは何でフィルターは何っていう自分としてのスタンダードの色味があって、そこからの派生で試行錯誤してきたんだけど、例えば同じ系列のプロラボでも場所によって上がりが全然違うんだよね。新宿は青いけど、青山は~~で、渋谷は~~などと。で、自分は青山で1/3増感じゃないとダメなんだとかね。

 フィルムの時代はデータシートがきちんと公開されていて、それをベースに考えることができた。モノクロとかだと現像に使う水とか、攪拌するときの手の振り方とかでも変わってくるんでそのぶんを加味する必要はあるんだけど。

 JPEGでは、できれば背面のディスプレーの色を合わせたい。微調整できたらいいなと思う。JPEGで撮る場合はディスプレーの色を信じるしかないから。チェック用にきちんとしたモニターを搭載した機種があるなら、プラス10万円は出せなくても5万円ぐらいは出してもいいよね。

── 環境光の影響も受けるから、色合わせするのは難しいと言っているメーカーの開発者に会ったことがあるけど。人間の目は環境に適応するというか、ある意味いい加減なところもあるから。

草野 ホワイトバランスは日向だと「ほぼ」はずさないけど、問題はナイター。日産スタジアムでディスプレーの色を信じて撮ったけど、全部緑がかっていたときがあった。普通、グリーンの反射はマゼンタ補正だと思うんだけど、それをやってない感じ。プリセットで撮ったらオレンジがかって見えたので、オートで試しに撮ってみたらそっちのほうがよく見えた。でも、パソコンで見たらプリセットのほうが当たりだったケースもある。そういう意味でもモニターキャリブレーションの機能はほしいなあ。

── ニコンはアンバー気味に寄ってて、多少黄色っぽく映る傾向があるよね。空がにごるから、気持ちシアン入れるといいでしょう。

草野 影に入るとまた変わっちゃうけどね。ゴミ問題とディスプレーの色とカスタムファンクションで絵作りが加わった状態で出る問題が解決したら、プラス10万円でも買うよ。撮影時のモヤモヤがなくなるから、集中力がえらく変わるし、全部が全部14bit RAWで撮れるわけではないしね。

── 余計なストレスがなくなるからね。

草野 これでいいかなって、画面を確認してる間に、何回もシャッターチャンスを失っているからね。RAWだったら後処理でカバーできるけど、JPEGは難しいなと思う。デジタルにしてから3~4年経つけど、いままでJPEGは使ってこなかったんで。

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