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ダースベーダーが枯山水で戦闘!?

顔ちぇき!に学ぶ、ウケるモノ作りの心得

2008年05月30日 20時20分更新

文● 高橋暁子

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実は「ゆるい」意見が重要


 ウケるサービスを作るためには、最先端を知ることに加えて、面白いと思った技術をいろいろな人に見せることが役に立つかもしれない。

 「顔ちぇき!は、雑談から生まれたんです。顔認証技術を使って何か面白いサービスができないかと考えて社外の人にデモしたところ、思いのほか話が盛り上がりました。『女の子の顔写真から3サイズが分かったら面白いよねー』といったくだらない話をしているうちに、『自分がどんな有名人に似ているのが分かるとウケるかも』とアイデアが固まっていったんです」(皆川氏)

 デモを見せる相手は、技術者ではない、自分と違う感覚を持った人のほうがいいそうだ。

 「同じ立場の人にアドバイスできるとしたら、技術を眠らせておくのではなくて、いろいろな人に見せるといいと思います。僕では多分、顔ちぇき!のような使い方は思い付かなかった。画像認識のエンジニアだからこそ、『だってそういう用途の技術じゃないじゃん!』って思い込んでしまう。技術者目線を外して、言い方は悪いですけど、畑違いの「ゆるい」意見を聞いてみるというのは大切です」(皆川氏)

 他者を触媒として、面白い技術をウケるサービスに変換していく。そうして顔ちぇき!は、世に送り出されてきたのだ。

【コラム】「運」という追い風も

 「顔ちぇき!」がヒットしたのは、もちろんサービスのできのよさもあるが、それを後押しする条件が揃っていたことも幸いした。サービス開始後、ウェブ媒体が取り上げて、mixiの日記などの口コミでじわじわと広がり、朝のニュース番組が紹介したことで一気にブレイク。わずか1ヵ月で利用者数が2000万人にまで爆発的に増えたという。



究極の目的は「人間の認識を超えること」


 皆川氏の画像認識に対する興味は尽きない。「ITと画像認識技術を使って新しいものを生み出していくのが夢」と言う。

 「顔ちぇき!」の後には、写真から商品情報を探せる画像検索エンジン「SAYL」を立ち上げた。また画像を元に関係した広告を表示するコンテンツ連動型の広告プラットフォーム「Adphoto」の開発に関わるなど、画像認識をキーにしたサービスに携わってきている。

 「画像認識技術の究極の目的は、人間の認識能力に追いついて、超えていくこと。例えば、コンピューターは、犬を犬として認識できません。まだまだ人間の能力には追いついていないんです」(皆川氏)

 今後、画像認識技術はどこまで進化するのか。今でも最先端の「引き出し」を増やし続ける皆川氏から、第2、第3の顔ちぇき!のような大ヒットサービスが出てくる日も、そう遠くないことかもしれない。


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