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「技研公開」でスーパーハイビジョンを堪能

3300万画素! 有機撮像素子! NHK技研の粋を見よ

2008年05月21日 22時13分更新

文● 新 淳一/アスキーネタ帳編集部

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スーパーハイビジョンを身近にするために

 現状のスーパーハイビジョン用カメラでは入射した光をプリズムで赤・緑・青に分けて、それぞれの光を3枚の撮像デバイスで電気信号に変換して映像を作り出しています(3板式)。この方式はプリズムと3枚の撮像デバイスが必要になるためカメラの小型軽量化が困難なのだそうです。その解決策として、有機撮像デバイスの研究が進められています。

有機撮像デバイスを用いた単板撮像方式の実証実験装置。今回行なっている有機撮像デバイスによるカラー撮影(緑と赤)は世界初と言います

3枚の有機膜を重ねた新しい方式の単板カラー撮像デバイスの構造について説明するパネル。電気信号として読み出す回路は透明になっている点が特徴です。現状では薄膜トランジスタを使っているため、現在のCCDやCMOSなど、シリコンを使ったICに比べ、微細加工が難しいなど技術的課題はいろいろあるようです

 スーパーハイビジョン放送を実現するためには、膨大な映像・音声情報を圧縮符号化する技術が欠かせません。今回展示している映像・音声は、実用的なビットレートとして映像を約118Mbps、音声を約2Mbpsに圧縮し、126MbpsのMPEG-2 TS(ISO/IECとITU-Tが標準化した多重化の方式)として出力されています。NHKでは、2011年以降に使用可能になるBS放送のチャンネルを利用した、大容量伝送を可能とする新方式「高度BSデジタル放送」を提案していますが、その暫定規格でも伝送可能なビットレートです。

映像の圧縮にはAVC/H.264方式、音声の圧縮にはAAC方式が用いられています。符号化・復号ともにハードウェアでリアルタイムに行なっています

展示では、高度BSデジタル放送方式によるスーパーハイビジョンやダウンロードサービスなどのアプリケーションが紹介されています。ダウンロードサービスでは、視聴者が都合のいいときに番組が視聴できるようになります。便利!

 スーパーハイビジョン関連では、ほかにも英BBCとの共同研究に関する展示や家庭視聴イメージを模した展示などが見られます。

左はBBCが研究開発を行なっているDirac映像符号化システムのデモ。ブロック処理の影響が低減され、動きがなめらかに再生されます。右は100インチを超える大画面(3840×2160の56インチ液晶パネル4面)、トールボーイ型スピーカーで22.2マルチチャンネル音響を体験できる部屋をイメージしたもの

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