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中小企業でも世界を相手にビジネスできる

米ネットスイートが「OneWorld」を世界一斉ローンチ

2008年04月19日 01時53分更新

文● Junya Suzuki(鈴木淳也)

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止まらない、SaaS/クラウド・コンピューティングの世界


 現在、米国や日本を含む世界のIT企業はSaaSに熱い視線を注いでおり、システム・サービスを提供するためのコンピューティング・クラウドの構築やその活用例の研究にまい進している。この分野で著名なのがグーグルやアマゾン、そしてSaaSでCRMを提供するセールスフォース・ドットコムなどだ。ネットスイートもまた、こうした先進的な企業群の1つである。

 ネットスイートの創業は1998年、グーグルやセールスフォース・ドットコムとほぼ同時期。そのバックにはあの米オラクルCEOとして知られるラリー・エリソン氏がいることで知られる。派手なプロモーションとは比較的無縁だった同社だが、その名が世界的によく知られるようになったのは2007年12月のIPO(株式公開)。同社はその直前の時期から欧州でのオフィスや日本支社を開設しており、IPO後の世界展開の準備を着々と進めている。OneWorldは世界市場進出の第一歩とも呼べる製品だ。

 「中小企業でも世界を相手にビジネスできる」というキャッチフレーズは、まさにNetSuite自身のことを示しているといえるかもしれない。SaaSはその仕組み上、インターネットを介してサービスを提供するため、実質的な国境は存在しない。世界を相手に製品を売るという意味では、これ以上ない素材だろう。

 「うまくトレンドに乗る」という面も見逃せない。折しもNetSuiteの発表と前後して、ライバル各社から次々と新発表が相次いでいるからだ。4月15日(米国時間)には、セールスフォース・ドットコムとグーグルがサンフランシスコ市内のホテルで記者会見を開き、「Saleforce for Google Apps」の製品発表を行なっている。

 これはSalesforce.comのアプリケーション製品から必要に応じてGoogle Appsの機能を呼び出すことで、互いに機能連係を行うというものだ。GmailやGoogle Docs/Spreadsheetsを活用することで、Microsoft Officeなどのアプリケーションなしで、すべてSaaSでシステムを構築できる点が特徴だ。

 このとき、会見に出席したセールスフォース・ドットコム会長兼CEOのマークベニオフ氏と米グーグル会長兼CEOのエリック・シュミット氏は「Web世界の業界リーダーが次世代トレンドを作り出す」と述べており、その2人ががっちり握手する姿はクラウド・コンピューティング時代を象徴するかのような構図だ。

 一方でその翌日には、以前にセールスフォース・ドットコムが買収を検討していたといわれる米ZohoがCRMアプリケーションの新版を発表している。ネットスイートのOneWorldはこれに続く形となり、まさに止まらないクラウド・コンピューティングの進化の渦中にある。

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