起業するなら、シリコンバレーに行くな
── そうはいっても、課題だけで米国に飛び出せるというのはすごいですね。
高須賀 自分でも不思議なんですが、サイボウズを始めたときもそうだったんです。
「根本的な課題」を感じていて「それは絶対に解ける」という根拠のない自信がありました。いまも違う課題がいくつかあるけど、「絶対やるから」と言っている。課題さえ見つかれば、あとは死ぬほどがんばるだけなんですよ。
── 最近では日本人が米国で起業する例が増えてきていますが、失敗する例も少なくないですね。
高須賀 僕たちはポートランドで起業しました。ここが重要だと思っているんです。これがシアトルとか、シリコンバレーではよくない。街が大きすぎるんです。
例えば、中国や韓国の企業家が、東京に出てきても誰も関心を持たないじゃないですか。でも(僕の出身地の)松山だったら、一気に話題が広がって、地元の経済人とつながりが出きる。松山の経済人は東京や大阪の経済人とつながっている。
それと同じで、ポートランドの経済人はシリコンバレーやニューヨークの経済人とつながっています。でも、街の規模が小さすぎてはダメです。オレゴン州でもポートランドならいいけれど、ユージーンではないわけです。セーラムでもないわけです。
── 日本人はシリコンバレーで起業するな、ということでしょうか。
高須賀 はい。勉強するにはいいと思うんですけどね。アメリカの様子をうかがって、日本向けに情報を発信するには最適な場所です。しかし、日本人がベンチャーをやっていくには適していないと思います。シリコンバレーでは、あたらしいビジネスがボコボコと生まれています。その中で頭ひとつ抜けるのはとても難しいんです。