採用条件の交渉の仕方
大切なのは切り出し方とタイミング
面接も終盤になってくると、給与や勤務地、入社時期といった採用条件の交渉に話が移ってきます。これらは企業情報や求人広告だけでは分かりにくいため、面接現場で確認することが多いのですが、中でも大切なのが切り出し方とタイミングです。初回の面接の冒頭で給与の話を切り出したのでは、面接官も面食らってしまいますし、一番の関心事が給与と思われてしまっては高い評価を望むことは難しいでしょう。では、一体どんなことに気をつけて話し合えばよいのでしょうか。以下に採用条件の交渉の仕方をまとめてみました。
一方的に希望を押し付けるのはタブー
双方の妥協点を見出す努力が必要
採用条件の交渉で大切なのは、一方的に希望を押し付けないことです。そもそも交渉とは、根拠のある提案をすることなのです。たとえば、家族の理由で転勤が難しいのであれば、面接で正直に実態を伝えれば企業側も可能な限り配慮してくれるでしょう。そういった両社が歩み寄らない交渉では、結論を出すのが難しくなってしまいます。また、業界や企業によって交渉幅が異なることも理解しておきましょう。そのためには、事前の業界・企業研究が大切になってきます。それらをしっかりと踏まえたうえで、交渉に臨むようにしてください。
■仕事・職種
- 妥協しない姿勢を見せることも効果的
- 希望職種があるならば、応募書類だけでなく面接時にもはっきりと伝えましょう。とくに未経験職種にチャレンジする場合は、意欲だけでなく過去のキャリアから自分にはむしろふさわしい仕事であることをアピールするようにしてください。せっかく転職するのですから、やりたくない仕事を押し付けられるようなことがあっては無意味です。時には妥協しない強気な姿勢を見せることも交渉をスムーズに進めるための方法です。
■給与
- 面接2回目の後半がタイミング
- 給与交渉は最も興味がありながら最も難しいのが現実です。というのも、交渉可能かどうかさえわからない場合が多いからです。注意したいのは交渉のタイミングです。初回の面接でいきなり交渉に持ち込むのはマイナス評価になってしまいタブーとされています。基本的には2回目の面接の後半で、仕事内容や職歴などひととおりの話が終わってから切り出すようにしましょう。その際、話し方や態度にも注意が必要です。給与が最大の関心事と思われてしまってはマイナス評価になりかねません。また、すぐに希望額を伝えるのではなくその企業の給与体系について質問するところから始めるとよいでしょう。交渉の際は焦らず相手の出方によって対応を変えるといった懐の深さが必要です。
■待遇
- 賞与は満額査定の時期を確認
- 待遇とは、住宅手当や地域手当といった諸手当、昇給、賞与のことなどを表します。待遇については、企業ごとに一律決まっている ことが多いですので、個別交渉で変更なる可能性は高いとはいえません。したがって、面接時には支給内容と対象を確認する程度が妥当といえます。なお、賞与については、査定期間と在籍日数が関係してくるので、満額査定はいつからなのかを確認するようにしましょう。
■勤務地
- 安易で軟弱な希望は通りにくい
- 募集職種の勤務地を「通勤が楽だから」といった安易で軟弱な理由だけでは、勤務地の希望は叶えられにくいのが実情です。家庭の事情で転勤が難しいのであれば、面接の段階でそれをきちんと説明し、企業側に配慮してもらえるようお願いするのが望ましいと言えます。
■入社時期
- 会社や転職先の都合を考慮
- 入社時期についての交渉も忘れずに行ないましょう。企業からは「いつから来てほしい」という希望が伝えられますので、それが可能かどうかを判断のうえ話し合ってください。会社に在籍中で退職の意思を伝えていない場合は、安易な返答は避けてください。法律では、退職の意思を伝えてから2週間後には退職できることになっていますが、業務の引継ぎや取引先への挨拶回りなどは社会人としての最低限のマナーですので、最後までしっかりと行ないましょう。企業によっては退職規定を設けているところが多いですので、事前確認も必要です。何より大切なのは、自分の都合だけでなく、会社や転職先の都合を考慮したうえで、円満退職を全面に押し出しながら1日でも早く入社できるよう譲歩する姿勢を見せることです。