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2007年12月27日更新

「ついついやっちゃう……」本能にアプローチ! かつてない製品を実現するスキルとは

空気の入った小さな粒が集まっている梱包用のクッション材「プチプチ」をつぶして遊んだ経験は誰にでもあるだろう。それを、いつでもどこでも、どこまででもプチプチできるようにしたのがバンダイのキーチェーン玩具「∞(むげん)プチプチ」だ。2007年9月22日に発売されると話題を集めて、3ヶ月で累計100万個を売り上げた。この大ヒット玩具の発案者である高橋晋平さんに、ヒット商品誕生の経緯を聞いた。

株式会社バンダイ 高橋晋平さん株式会社バンダイ プレイトイ事業部 コミュニケーショントイチーム 高橋晋平さん(28) 大学院修士課程修了後、2004年にバンダイに入社。以来、玩具の企画開発を担当し、現在は大人向け玩具シリーズである「Gadget」の企画・開発・プロモーション業務に携わっている。

最初はビミョーな反応だった…… 企画者のプレゼンのコツ

 結果的に大ヒット商品となった∞プチプチだが、アイデア出し当初は、社内どころかチーム内での反応もイマイチだったようだ。高橋さんは、そこでアイデアに見切りをつけるわけでもなく、どうやって商品化にこぎつけたのか。

「バンダイでは幼児向けの人形からプラモデルまで多くの玩具を発売しています。私の部署では、大人が楽しめる玩具を企画・開発していて、次はどんな製品を作るかをチーム内で話し合う『アイデア会議』を3ヶ月に1度開いています。その会議では、1人10案くらいを持ち寄り、そこでプレゼンをして、よいアイデアがあれば製品開発のための『開発会議』に持っていけるように練り上げていくのです。∞プチプチのアイデアを最初に出したのは2006年の暮れごろ。最初は上司も含め、チーム内の反応は『ビミョー』としか言いようのないもので、とても発展性があるような感じではなかったです」

プチプチプチプチ
2007年9月22日に発売された5色に続き、2007年12月15日に発売となった新色「ビビッドピンク(左)」「グリーン(右)」

 だが、高橋さんは諦めなかった。それは、プチプチの切れ端をつぶして遊んでいる人を社内でよく見かけていたし、多くの人は経験があるはずだと確信があったからだ。アイデアを埋もれさせるには惜しいと感じた高橋さんは、「プチプチ」について調べてみることにした。すると「プチプチ」の商標を持つ川上産業がオフィシャルブックを出していることを知った。

「オフィシャルブックでは、プチプチの心理学的な考察もされていました。それによると、人間は本能的にあのような物をつぶしたくなるらしいのです。そこで玩具にしたら誰もがやりたくなるグッズになるに違いないと思いましたね。∞プチプチのパッケージには『人はプチプチせずにはいられない……』というフレーズがあるのですが、これは人間のプチプチに対する本能を端的に表していると思います。開発会議でもこのフレーズを使ってプレゼンしました」

 こうしたバックボーンをアイデアに付加して、高橋さんは∞プチプチの企画案を再構築。『開発会議』に出せる状態まで練り上げた。単に「ひまつぶしにいい」「単純でおもしろい」ではなく、「誰もが手にとってやりたくなる」という裏づけができたのが功を奏した。

「開発会議の場では、営業の人も同席します。そこでは、アイデアの面白さに加えて『なぜそれを売るのか』『それは売れるのか』『問屋や小売店に何と説明したら取り扱ってもらえるのか』などを、理解してもらえるかどうかがポイントです」

 特に∞プチプチのように、これまでになかったタイプの玩具の場合は、営業面からのアプローチが必須だと高橋さんは語る。そこで、実際に高橋さんは「人はプチプチせずにはいられない……」という、人間心理の話を絡めて説得していった。

「『へえー!』と思える話があれば、企画の通りもいいし、問屋さんで商談のときにも使えると思うんです。たとえば、川上産業のプチプチには1万個に1つだけハート型の気泡があるとか。営業の人がそのまま話して、相手が驚きや共感を覚えれば盛り上がるはずです。だから私は、開発の段階で『すぐ商談に使えるネタ』というのも考えました。これが企画者のプレゼンのコツの1つだとも思います」

(次ページに続く)

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