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キャリア・ピックアップ 第25回

涙のイタバサミ人間が生きぬくには~社内評価アップ術・後編~

2007年12月13日 11時25分更新

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 社内評価を高めて、ポジションアップや給与のアップを望みたい。そんな気持ちは会社という組織で働く者であれば当たり前の希望だろう。もちろんそのためには仕事で実績を上げることにほかならないが、このような真っ向勝負だけでは「正当な評価は得られない……」と悩みを抱えるエンジニアは多い。そこで、社員研修や人事制度のコンサルティングを行なっている熊原徹司さんに、中間管理職(後編)として、彼らの社内評価に対する悩みと、その具体的な対策方法を聞いた。

社内評価

中間管理職が社内評価を下げてしまう最大の理由とは

 中間管理職は部下のマネジメントが仕事の大きな部分を占める。それに伴い、自己の社内評価に対する悩みと、部下との関係における悩みが密接に関係していることだろう。だか、部下との関係を考える前に、するべきことがある。それは「会社が自分に求めていること」が何かを正確に把握することだ。

「上の立場になればなるほど、自分の行動が会社に与える影響は大きくなります。それは単純に、自分の支持をもとに多くの部下が行動することを考えても分かるでしょう。そこで、中間管理職が社内評価を高めることを考えた場合、『上司が自分に(また自分が指揮をとるチームに)何を期待しているか』を知ることが非常に大切になります」

SMBCコンサルティング

SMBCコンサルティング株式会社   研修事業部 シニアコンサルタント  熊原徹司さん

 これは目標設定をする際にも当てはまることだと熊原さんは言う。確かに、目標を部下から上司へボトムアップさせる企業は多いが、それでは「会社の考え」と「個人の目標」に必ず差が生じてしまい、個々の努力がそのまま評価に反映されることはない。

「目標設定を上司から部下の方向で行なうことで、『目標』と『評価』が一致します。その形を作らなければ、いくら努力をしても自分の評価はあがらないと認識して下さい。同様に部下の目標設定に対しては、自らが部下に『期待すること』を伝えることが必要となります。チームのミッション(会社に期待されていること)から、会議で部下に役割を振り、ゴールを与える。そして部下には、そのゴールへの到達の方法を考えさせ、個別に方法のすり合わせをしていく。これが正しい目標設定のやり方です。これがしっかりできれば、上司(会社)が望むような形で部下をマネジメントすることができ、自分の社内評価も高まることでしょう」

理想は理想。現実の悩みはそうはいかない?

 「会社が期待すること」と「個人の目標」のズレが、社内評価を下げてしまう原因だということが分かった。だが、実際の日常業務の中で発生する身近な問題で悩んでいる中間管理職も多いことだろう。たとえば、上司の指示と部下の意見に挟まれて“コウモリ”になっていないだろうか。現実問題、中間管理職の悩みの多くは、上司と部下の均衡をどうとるのかという点が大きい。これらの諸問題に対する解決策をあげてみた。

■自分と部下の危機的ケース1■

 年末・年始の忙しい時期にもかかわらず、大型プロジェクトがチームにおりてきた。会社にとって重要な案件ということだが、スケジュールが非常にタイトだ。メンバーの不平を抑えて、プロジェクトを成功させることができるだろうか……。

「誤解を恐れずに言ってしまえば、部下の不平を気にすることはありません。プロジェクトが成功することで、部下も評価されるわけですから。ただし、最初にそのプロジェクトを受けられるのかどうかを正しく判断しなければなりません。上司から言われたから『やらなければならない』ではなく、『チームができる状態にあるのか』をジャッジすることが中間管理職には求められます。そのためには、部下1人1人の状態を把握することが大切です」

 また、場合によっては「できません」と言うことも中間管理職には必要だという。

「ただし、チームメンバーにも相談して、ありとあらゆる方法を検討し、すべての可能性を検証することが前提となります。誰の目からみても、不可能なことでない限り、安易に『できません』とは言えないでしょう。全体では、できないと思っていることでも、1つ1つ小さな課題を解決すれば、できることの方が案外多いものです。」

 その上で困難なプロジェクトを引き受ける場合には、仕事の振り方に“部下に対する気づかい”が必要とのことだ。

「無理な状況でプロジェクトを引き受ける場合は、部下全員の仕事の隙間を縫い合わせたプロジェクト完了までの道筋を、自ら最大限に考えなければなりません。そして、それをもって部下に頼む。ここまでやってはじめて、部下は快く動いてくれることでしょう」

 部下に「やれ!」とただ強要するのではなく、部下との一体感を持つよう努めることが大切ということだ。

(次ページに続く)

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