プロジェクトは成功するためにある! 本当の実力を養う最強プロマネ講座 第7回
第7回 クライアントとの言った、言わない問題…… 情報伝達の「コミュニケーション・マネジメント」
2007年10月19日 11時05分更新
悪い情報をクライアントへ開示する重要性
また、さらにコミュニケーション・マネジメントの失敗でよくあることは、第6回連載のチーム・マネジメントでも解説した「悪い情報が行き渡らない」ケースの存在です。社内で対策を考えて対処し、それからクライアントに伝えるという段取りを踏むことも状況によっては仕方ないですが、基本的に悪い情報はできるだけ早く伝えるべきです。特に昨今のプロジェクトは専門性の高いものが増えているため、専門的なところは専門家に任せようという社会的な流れがあります。そのため、プロジェクトをほぼ丸投げで任されることもあります。この場合でも、高い信頼関係の下でプロジェクトを推進できるように、悪い情報ほどきちんとクライアントに開示していくことが重要です。
100%正確に伝わる情報はないという認識
これまでの内容を踏まえコミュニケーション・マネジメントのポイントをまとめると、必要とされる人に的確な情報を適切な方法で送ることが大切だということですが、しかしこれらは「情報が受け手に100%正確に伝わることはない」ことを常に前提とされるべきです。チームメンバー以外のクライアントに情報を伝える場面は、このような意識を一層持つ必要があります。
たとえば、受け手は届いた情報を自分のフィルターに通して理解しようとします。その際に、情報はそぎ落とされたり、受け手側の都合のよいように解釈されたりするため、伝達側の意図通りに伝わることは、まずないでしょう(図1参照)。そこで伝達した後には、受け手が「どう受け取ったか」「間違いなく意図が伝わっているか」を確認し、合意するフォローが重要になります。これを怠るとよくある“言った、言わない問題”が起こり、プロジェクトの成功どころか、信頼関係の崩壊につながりかねません。念入りに行ないましょう。
クライアントとの“言った、言わない問題”を防ぐために
情報共有のよい方法として、会議では議事録をつけ、それを双方が確認し、合意することは特に大切です。議事録をつけるだけでなく、会議自体を録音するのもいいでしょう。そうすれば、それを元に議事録を作ることもできるし、万一に“言った、言わない”の水掛け論に発展しても、録音した内容で確認できます。会議で誰もが責任ある発言をするような効果もあるでしょう。
このように、多くの人が関わるプロジェクトだからこそ、メールなのか、会議なのか、どれくらいの頻度で情報交換を行なうかなどのコミュニケーションルールを決めることは大切です。相手の合意と確認はプロジェクトの命運を左右する重要なポイントとります。
プロジェクト成功のポイント
・悪い情報は次の手を打ちやすくするために、早め、早めに報告する
・コミュニケーションは100%相手に伝わらないことを前提に、確認・合意をする
・メールなのか、会議なのか、どれくらいの頻度で情報交換を行なうかなどのコミュニケーションルールを決める
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