サーチファーム・ジャパン株式会社
IT・通信グループ パートナー
新 和美さん
最近では、ITや通信業界の分野でもヘッドハンティングが盛んに行なわれていると言う。しかし、実際にはどのようにヘッドハンティングが行なわれているのか、またどのような人物がスカウトの目に留まっているのかなど、わからないことが多い。そこで、国内最大規模のヘッドハンティング会社サーチファーム・ジャパンの新和美さんにIT業界のヘッドハンティングについて聞いた。
中間管理職クラスのヘッドハンティングが盛ん
企業の依頼に応じて他の会社などから優秀な人材を引き抜く、つまりヘッドハンティングが、IT業界でも急増している。サーチファーム・ジャパンも、企業からのスカウト依頼の増加にともない、今年4月に専門スタッフ(リサーチャー)を増員するなどの補強を図った。
「IT業界は慢性的な人材不足ですが、特に中間管理職・マネージャークラスの人材が不足しています。求人情報誌や転職サイトでもこのクラスの求人が出されていますが、これらの利用者の中心が20代であるため、企業はふさわしい人材を確保できない状況にあるようです。そこで、経営層だけでなく、中間管理職やマネージャークラスのヘッドハンティングの依頼が増えています」
中間管理職やマネージャークラスの人材不足の背景には、現在30代が新卒採用を控えていた時期にバブル崩壊後の不景気が続いたことが原因にある。しかし経済が好況に転じ、企業のIT投資が増加。IT案件は増えるが、担当できる人材が足りないという状況のようだ。
「企業は競争力を強化するために、中間管理職やマネージャークラスの人材を必要としています。たとえば、企業が事業拡大の局面を迎えたり、IPO(新規公開株)を目指すときには、内部統制、経営管理の整備といった改革を行ないます。その際、重要なポジションを担う幹部候補が必要となのです。また、新しい部署を立ち上げて新規事業に参入をする場合などは、その分野に精通している人材が必要となるでしょう。これらの人材を獲得するためには、ヘッドハンティングという方法は効果的だと思います」
実際、サーチファーム・ジャパンでは年間約700件のヘッドハンティング実績のうち、中間管理職は74.6%にも上る。主任クラスは18.8%、エンジニアなどの技術者は6.6%。求人情報誌や転職サイトで募集されている限定された層と異なり、幅広い世代がターゲットとなっているという。さらに、同社はITに限定すると約4割のヘッドハンティング実績があり、2007年度はIT・通信業界の成約案件を345件、前年度115件の倍を見込んでいると言う。
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