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2007年03月29日更新

将来プロジェクトマネージャーになる! “プロマネ”未経験だからこそ役立つPMP試験対策

隈元辰浩さん ブリスポイントネットワーク株式会社

隈元辰浩さん
ブリスポイントネットワーク株式会社

プロジェクトマネジメントの国際的な専門資格PMP(Project Management Professional)を受験するには、一定期間のプロジェクトマネージャー(PM)としての実務経験が必要だ。しかし、あなたに受験資格がないとしても、今から試験の勉強をすることは決してムダにはならないという。PMP試験対策を主催しているブリスポイントネットワークの隈元辰浩さんに、PMPの勉強を通して身に付けられることを聞いた。

PMP試験対策から、PMとしての正しい視点を身に付ける

 PMPを受験するには、大卒なら過去8年間に4500時間以上かつ3年以上、高卒なら過去8年間に7500時間以上かつ5年以上のプロジェクトマネジメントの実務経験が必要とされています。読者の中には、この条件に満たない人もいることでしょう。しかし、たとえ現時点で受験資格がないとしても、今からPMP試験の勉強をすることは有益であると考えられます。それは、試験勉強を通してプロジェクトの理想的な姿を学ぶことで、PMとしての正しい視点を身に付けられるからです。将来の受験対策だけではなく、今携わる日々の業務にこの視点を取り入れるためにも、早い時期にPMPの勉強に取り組むことをおすすめします。 それでは実際にPMP試験対策の問題を使って、プロジェクトマネジメントについて考えてみましょう。

■問題1
 次のうち、プロジェクトが成功したと言えるものはどれかを選びなさい。
A. 成果物のすべてについて顧客から承認を得た
B. プロジェクトの成果が定常業務へと引き継がれた
C. ステークホルダー(注1)の期待を上回った
D. 当初の計画の予算と納期を順守した

注1:ステークホルダー
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)ガイドに登場する重要語句。プロジェクトおよびプロジェクトの成果からプラスまたはマイナスの影響を受ける利害関係者のこと

正解 1
 この問題では、プロジェクトの「成功」に対する正しい視点が学べます。問題の見方によっては、どの選択肢も正しいとも考えられますが、正解は「C. ステークホルダーの期待を上回った」になります。その理由は、ほかの選択肢はプロジェクトの成功のある一面を言っているにすぎないからです。

 たとえば「A. 成果物のすべてについて顧客から承認を得た」としても、また「B. プロジェクトの成果が定常業務へと引き継がれた」としても実はそのプロジェクトが自社にとって赤字を出すものだとしたら成功と言えません。また、「D. 当初の計画の予算と納期を順守した」としても、納期を守るための休日出勤や残業を課されたプロジェクトのメンバーが体を壊してしまったとしたら? C.以外の選択肢は、どれも一概に成功とは言えないのです。つまり、プロジェクトは、すべてのステークホルダーが多かれ少なかれハッピーになってこそ、成功と考えてください。 このようにPMP試験では、「どれも間違いではないが最適なものはどれか」を問う問題がしばしば出題されます。どの選択肢も正解ではあるものの、よりベターな方法を選ぶということは、実務現場の仕事の進め方と同じではないでしょうか。

 あらゆるステークホルダーの期待にプロジェクトを適合できるように、プロジェクトの初期段階で期待を調整・交渉・文書化して合意をとることは、とても高いハードルです。しかし、このハードルをクリアするか否かで、プロジェクトの進行と成果が大きく異なります。

■問題2
 品質についての記述で正しいものは、次のどれかを選びなさい。
A. 高い品質はもちろん、高い等級の製品・サービスを目指すべきである
B. 明示されたニーズはもちろん、暗黙のニーズも要求事項に変換すべきである
C. 欠陥を予防するコストは、欠陥を是正するコストより高くつく
D. 品質とは検査によって達成されるべきである
正解2

 この問題を学ぶことで、プロジェクトの「品質」に対する正しい視点が養えます。正解は「B. 明示されたニーズはもちろん、暗黙のニーズも要求事項に変換すべきである」。

 まず「A. 高い品質はもちろん、高い等級の製品・サービスを目指すべきである」に関しては、品質と等級の違いを認識してください。品質は製品・サービスの出来のよさを指すのに対して、等級は製品・サービスのグレードを指します。たとえば携帯電話の場合、通話のみできる機種よりも、通話以外にインターネットができたりテレビが見られたりする機種の方が等級が高いと言えます。携帯電話のユーザーには通話ができれば十分な人もいるように、製品・サービスにおいて常に高い等級が求められるわけではありません。逆に低い等級でも、常に高い品質が求められることを忘れてはなりません。

 また「C. 欠陥を予防するコストは、欠陥を是正するコストより高くつく」も間違いです。欠陥を修正するコストは、プロジェクトが終わりに近づくにつれて高くなります。特に市場に出てからの欠陥は、時に金額に表されないほどのダメージを組織に与える場合もあります。検査より予防が大切なことを覚えておきましょう。

 そして「D. 品質とは検査によって達成されるべきである」は、実際のプロジェクトでよく行なわれているテストに過度に依存した考え方です。しかし、テストはあくまでも最終確認と考えるべきです。まず欠陥を防ぐ策定をして、それが正しく実行されるようにマネジメントをすることで、高い品質が確保されるのです。

 それでは、なぜ「B. 明示されたニーズはもちろん、暗黙のニーズも要求事項に変換すべきである」が正しいかと言うと、暗黙のうちに期待されているニーズもあるからです。たとえば、製品・サービスの仕様書は機能面の記述に終始しているケースがほとんど。でも「機能」は仕様の一部にすぎず、ほかにも「信頼性」「保守性」「デザイン」など、クライアントの要望があるはずです。こうした機能面以外のニーズはユーザー自身も気づいていない場合や、当然だと思っている場合もあるのでやっかいです。

 たとえば、ソフトウェアは下図に示されるような多様な性質をもっています。これらに対してどういったニーズがあるのか、できるだけ早期に掘り起こして文書化することが、プロジェクトマネジメントでは重要になります。これをおろそかにすると、プロジェクトの終盤でもめることにもなりかねません。

JIS X 0129-1 ソフトウェア製品の品質-第1部:品質モデルより
JIS X 0129-1 ソフトウェア製品の品質-第1部:品質モデルより

 PMとして成長するには、現場で経験を積むのが一番。しかし、体系的にプロジェクトマネジメントを学習することは、実務にとても役立つのも事実です。たとえ自分がPMの立場でないとしても、PMの立場ならプロジェクトメンバーにどう行動して欲しいかを考えることで、メンバーとしての自分がどのように行動すればいいのかが見えてきます。また、リーダーであるPMのプロジェクトの進め方を観察することで、疑似体験もできることでしょう。PMP受験対策の勉強を通して、PMとしての正しい視点を身に付けることは、有能なプロジェクトメンバーやPMへの近道でもあるのです。

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