このページの本文へ

キャリア・ピックアップ 第6回

オラクル マスター シルバー試験対策 データベース管理者は知識が欠如しやすい!?

2007年04月12日 00時00分更新

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

林優子さん 株式会社システム・テクノロジー・アイ オラクル認定講師

林優子さん
株式会社システム・テクノロジー・アイ オラクル認定講師

データベースの構築と管理が、企業の経営戦略上さらに重要視されるようになった。それにともない、データの活用とそれを維持をするためのシステム、そしてシステムを管理する人材が求められている。このような中、注目されているのが「オラクル マスター シルバー(オラクルデータベース10g)」だ。この資格は、データベース管理者にとって、スタンダードかつ必須と言われている。そこで、データベース管理の経験者が同資格を受験する際に、経験がある故に間違いやすい注意点と実務に生かす方法を、オラクル認定の研修を行なっているシステム・テクノロジー・アイの林優子さんに聞いた。

データベース管理者の必須資格 オラクル試験とは

 オラクルの試験は、ほぼ毎日実施されています。試験にはブロンズシルバーゴールドと段階があり、知識の深さスキルの違いによって分類されていると考えてください。 たとえば、データベースに障害が起こったとします。ブロンズは障害の際のデータのバックアップの仕組みが分かる知識レベルであり、シルバーはバックアップを実行してリカバリーのための準備が行なえる知識レベル、ゴールドはリカバリーができる知識レベルです。

 データベース管理のスキルや知識は、実践で経験を積むのがレベルアップの近道です。しかし、前述の試験傾向であげたような障害は、頻繁に起こるものではありません。実践できる機会は1年に1回あるかないかでしょう。つまり、オラクル試験に必要な知識は、実践だけでは身につけにくいということです。

試験勉強を通して、知識を得る意義

 一般的に、仕事の知識というのは必要に迫られてから習得することが多いです。仕事に直接関係ないことは、なかなか学ぶ気になれませんよね。でも、オラクル の試験勉強を通して、日常的に必要な以上に広い範囲の知識を得ることは、日々の業務にも必ず役に立つはずです。

 たとえば、障害が発生し、“考えつくあらゆる手段”を講じて問題を解決しようとします。この方法では、結果的に改善されたとしても時間がかかってしまいますし、何が問題だったのかが曖昧なままになりがちです。次に同じような問題が生じても、最短距離で解決に向かうことができません。

 ところが、データベース管理者として確かな知識があれば、ピンポイントに障害の原因を探りながら解決に向かっていけます。頻繁に使う知識ではありませんが、知っていて使わないのと知らないままでいるのとでは、大きな差があるということです。それゆえ、オラクルの試験勉強は、データベース管理者としてのスキルアップにとても有益なのです。 それでは、以上のことを踏まえて、実務経験者が間違えやすいオラクル マスター シルバーの問題を見てみましょう。

■問題

ディスク障害が発生し、データベースを構築する物理ファイルの一部が破損した。この後、リモートクライアントからOracle Net Sevicesを利用して接続し、データベース管理タスクを実行することができなくなった。どのファイルが破損した可能性が高いか、適切なものを選択しなさい。

A. データベースファイル
B. 制御ファイル
C. REDOログファイル
D. パラメータファイル
E. パスワードファイル

■正解と解説
 問題文の冒頭に「ディスク障害が発生し」とあることから、実務経験者の多くは「A.データベースファイル」を選んでしまいます。これは「ディスク障害が発生」=「障害はデータベースにある」と考えてしまう、経験者によくある思い込みです。しかし、問題文を読み進めていくと「リモートクライアントからデータベースにアクセスできなかった」ことが分かります。すると、データベースに到達する以前に問題があることが、明らかとなり、正解がA. B. C.ではないことが分かります。また、問題文にデータベース管理タスクを「実行できない」とあるので、「D. パラメータファイル」でもなく、正解は「E. パスワードファイル」となります。

 また、問題文に「ディスク障害が発生し、データベース再起動の指示をしたが再起動できなかった」と書いてあった場合を考えてみてください。この場合の正解は「D.パラメータファイル」になります。  このように、オラクル マスター シルバーの試験では、文章の一部を変えただけで正解が変わってきます。したがって正解するには、冷静な状況判断力と分析能力が必要であると言えるでしょう。そういう意味では、実務にそった問題が出されているとも言えます。

 正解にたどり着くコツは、思い込みをせず、問題文から何が障害になっているのかを見つけ出すこと。どうしても分からない場合や、問題文が長くて一見しただけでは分からない場合は、「問題の結論」と「解答」だけを見て、一致するものを選択する方法もあります。

 オラクルマスター シルバー試験以外のオラクル試験すべてにも言えることですが、出題範囲は広範囲にわたります。ですから、模擬問題などで多くの問題を解くことをおすすめします。試験対策は確かに大変です。でも、スキルが独りよがりにならなためにも、勉強を通して幅広い知識を身に付けてほしいですね。

 オラクル マスター シルバーの取得は、データベース管理者としてのキャリアの第一歩となり、それゆえ重要です。そして、取得後はぜひさらに知識を深めてゴールドを目指して欲しいです。1つの企業で求められるゴールド取得者の人数はわずかたど思いますが、でもそのわずかの人の中に自分が入るか、大多数のシルバーのの内の1人になるかは大きな違いです。オラクル マスターシルバーの試験を機に、よりグレードの高いデータベース管理者を目指してくだい。

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ