松岡美樹の“ネットメディアの心理学” 第5回

SNS「禁煙するぞ.jp」で禁煙するぞ

タバコをやめたくなる仕掛けが盛りだくさん

　まず日記やメッセージ機能、コミュニティ、“あしあと”などがあるのはミクシィと同じだ。だが個性的なのはこれら以外の禁煙に特化した部分である。

喫煙シミュレーター

　例えばトップページ右下にある“喫煙シミュレーター”には、自分の性別や年齢、喫煙歴年数、1日の本数、吸っているタバコ1箱の値段などを入力する欄がある。で、ひととおり書き終えたら“シミュレート開始！”ボタンを押す。

　すると自分が払っている年間のタバコ代や、いままでタバコに使った金額、平均寿命までにかかるタバコ代が計算され、表示されるのだ。

　私は約1年前に禁煙するまで、1箱300円のマイルドセブンを1日3箱(60本)吸っていた。さっそくシミュレーターに入力してみると、私は年間32万8500円使っており、吸い始めてからいままでになんと985万5000円が煙になって消えている！　おいおい、約1000万円って……マンションが買えるじゃないか。しかも私は死ぬまでに、まだあと1000万円も使うらしい。

　これを読んだ時点で、もうタバコをやめたくなってくるじゃないか。

タバコが嫌いになる情報も満載……？

　また読み物もたくさん用意されている。タバコの成分や喫煙者の死亡率、タバコがもたらす各種の疾患別解説など、もうお腹いっぱいになるボリュームだ。一方、禁煙を実現するための手助け企画として、禁煙の方法や各種禁煙プログラムを解説したページもある。

　ほかにも“禁煙のためのヒント”なる読み物があるのだが、これがまたすごい。

ストレスがたまらないよう、タバコに変わるストレス解消方法を探そう

どんなときに吸いたくなるかを考え、傾向と対策を考えよう

まずいと感じる銘柄に変えるのもひとつの方法である

……などなど、やめるためのヒントがこれでもかと列挙されている。

　なるほど、まずい銘柄に変えるのは名案かもしれない。これならすぐやめるわけじゃないから禁断症状はない。かつ、「このタバコ、まずいよな。こんなモン吸うくらいならやめようか」なーんて思い始めるかもしれない。

　このほか“タバコ最新ニュース”として、京都市が路上禁煙条例を作ったとか、沖縄では禁煙タクシーが普及しておらず県内にはまだ130台しかない、みたいな新聞ニュースが時々刻々と更新されている。

　こんなふうに読み物だけでもかなりのお役立ち度である。