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松岡美樹の“ネットメディアの心理学” 第8回

小倉さん、それでもスルー力は必要ですよ

2007年07月19日 22時00分更新

文● 松岡美樹

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 ブログに書き込まれる誹謗中傷や嫌がらせのコメントについて、弁護士の小倉秀夫さんブロガーのekken(えっけん)さんが論争している。インターネットを使ったコミュニケーションについて考えるいい機会だと思うので、外野の私もちょっと口をはさんでみたいと思う。



ここではスルーに論点を絞って考えてみよう


 このディベートには論点がたくさんある。だがポイントが多いと議論が拡散してしまう。そこで主張を明確にするために、論点を“スルー”に絞って進めよう。

 まず2人のスタンスをひとことでいえば、ekkenさんは誹謗中傷や嫌がらせには「スルーが有効だ」とする立場だ。一方の小倉さんは、それでは問題解決にならないと考えている。

 例えば、ekkenさんは最近のエントリーで、ネガティブコメントに対する2つの対処法を示している。

 エントリーの論旨を私なりに解釈・要約すると、以下の通りだ。

自分に対してネガティブな意見であっても、それが正当な議論なら冷静に客観的な思考で応じよう。逆に正当な議論じゃなく、ただの誹謗中傷や嫌がらせならば、懐深くスルーするのが有効である。

 こちらも一読し、ekkenさんのいう「冷ややかな視線を浴びせる」とはスルーの親戚(一類型)だと感じた。



スルーの2つの側面


 さて最近の議論の流れを時系列で見ると、ポイントだと感じたのはekkenさんを支持するブロガーのSiroKuroさんが示した次のエントリーだ。

被害者は手厚く保護するべきであるという点については強く同意します。

しかし自分は、未来の被害者を無防備のまま公衆の面前に放り出すつもりは更々御座いません。(中略)

【自衛手段】としての「被害者が気にしなければ済む」を身につけさせること【も】大事であると自分は思います。

 SiroKuroさんがおっしゃる「無防備のまま放り出すつもりはない」には、大きく分けてふたつの側面があると私は考える。ひとつは心理的な要素、もうひとつは物理的な意味合いである。

【心理的な側面】
 ネガティブコメントに関わりすぎると、心理的に追いつめられる。そこで防衛手段としてのスルーを身に着ければ、精神的なダメージが緩和される。だから無防備のまま放り出さずに、スルーをおすすめする。

【物理的な側面】
 荒らしは放置されるとつまらなくなって退散する。とすれば今後、同じエントリに対して繰り返されるだろう嫌がらせを、1回目のスルーで物理的に防げる。だから無防備のまま放り出さずに、スルーをおすすめする。

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