「マルチタッチ」で豊かになる入力方法
それでは現時点で発表されているiPhoneには、どのような遺伝子を見てとれるだろうか。
ひとつ目は、2本以上の指による操作が可能な「マルチタッチ」対応のフル液晶ディスプレーだ。
くしくもiPhoneのお披露目と時を同じくして、LG電子から「KE850」という携帯電話機が発表された。トップブランドのPRADAが「PRADA Phone」(http://www.lgpradaphone.com/)として売っているのと同じもので、こちらも正面全体を覆うようなタッチパネル液晶が特徴だが、iPhoneのようにマルチタッチを認識できる仕様ではない。
1本より2本のほうがいい
すでにアップルのノートパソコンが採用しているトラックパッドでは、指1本ではカーソルを移動、2本で上下左右に動かしたときにはスクロールという操作を実現している。
iPhoneについては、画面に表示した写真の上に指を2本乗せ、写真を引き伸ばすように指の間隔を広げると、写真を拡大表示。逆に狭めると縮小表示、といったジェスチャーが搭載されることが分かっている。
しかし、iPhoneのマルチタッチジェスチャーがこれだけで終わるワケがない。指1本のシングルタッチとマルチタッチでは、操作における表現の幅ががぜん変わってくる。
2本以上の指なら、「回転」(表示方向や角度)を指示することもできれば、指を2本置いて長さや距離を表すことだって可能だ。2つのスライダーも同時に操れる。
大きなボタンであれば、1本指でタッチする場合と2本指でタッチした場合に別の動作を仕込むことができる。
アップルでは現在、iPhoneで採用予定のジェスチャー操作の種類や数について公表していないが、過去のインタビューではアップル幹部のグレッグ・ジョズウィアック(Greg Joswiak)氏が、「必要となれば後からいくらでもソフトウェアで追加できる」ことを明かしていた(関連記事)。
こうした「表現力」の違いを使って、「携帯電話機」、いや「iPhone」ならではの、今までまったく存在しなかった操作方法の新次元アプリケーションが誕生してくる可能性もある。任天堂が「ニンテンドーDS」や「Wii」でゲーム業界に新風を巻き起こしたとしたら、iPhoneは同じことを携帯端末の世界で巻き起こすかもしれない。