ASCII倶楽部

このページの本文へ

小島寛明の「規制とテクノロジー」 第251回

LINEヤフーになっても、LINE PayとPayPayは別々のまま?

2023年10月03日 07時00分更新

文● 小島寛明

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 2023年10月1日、LINEヤフー株式会社が誕生した。

 LINEとヤフーの経営統合は実際、新しいニュースではない。

 両社は、2019年11月に経営統合を発表。2021年3月に統合を完了している。

 これまでは、両社の上に持株会社のZホールディングスがあり、LINEとヤフーはそれぞれの会社が存在する形だった。

 今度は、ZホールディングスとLINE、ヤフーの3社が経営統合し、「LINEヤフー株式会社」として再スタートした。

 当初は「世紀の大合併」と見出しをつけるメディアもあるほどだったが、最近のニュースで強調されているのは、「300億円の固定費削減」など必ずしも前向きでない動きだ。

 経営を統合したものの、期待したほどの効果を得られず、さらに踏み込んで会社を一つにしたというのが、現実的な見方だろう。

300億円の固定費削減

 Zホールディングスは6月に株主らに向けて経営方針を説明しているが、その中身はやはり後ろ向きだ。

 次のような施策を実行して、固定費を300億円減らすという。

●採用凍結
●業務委託費の見直し
●役員報酬の削減
●オフィスの集約

 特に役員報酬は、対外的に株価の低迷などに責任を取った施策に見える。

 実際に、株主総会の質疑応答では、「LINE出身役員の報酬が大きすぎるようにみえる」との質問も出ていた。

サービスの統合と一本化

 LINEとヤフーは現在、さまざまな分野で重複するサービスを抱えている。

 例えば銀行事業は、ヤフー側にPayPay銀行があり、LINEもオンライン銀行「LINE Bank」の設立を目指していたが、LINE側は銀行の設立を断念した。

 動画の分野では、LINE VOOM、LINE LIVE、GYAO!と、少なくとも3つのサービスがあるが、LINE VOOMに一本化する。

 今後も、重複するサービスを整理する方針だという。

 気になるのは、スマホ決済のPayPayとLINE Payの一本化だ。

 すでに、LINE PayでPayPayのQRコードを読み取れる。

 つまり、PayPayしか使えない店でも、LINE Payで支払いができるサービスは始まっている。

 さらに、「今年度中」にPayPayとLINE Payをシームレスに行き来できるUIの提供を始めるという。

LINE化が進みそう

 あちこちで指摘されているが、LINEヤフーの役員人事はLINE寄りだ。

 LINEヤフーには3人の代表取締役がいるが、2人がLINE出身だ。

川邊健太郎会長:ヤフー出身
出澤剛社長:LINE出身
慎ジュンホGCPO(Group Chief Product Officer):LINE出身

 3人の意見がまとまらない時は、旧LINE側の代表取締役が2人いるだけに、旧LINE側の意向が優先される構造だ。

 株主からは「ヤフーLINE」の方が語呂がいいという意見も出ていたが、新しい社名はLINEを前にした。

 英語表記に至っては両社の名前も入れず、頭文字をとって「LY Corporation」としている。

 なぜLINEを前にしたかについては、会社から明確な説明はないが、アジア市場を考えると、おおむね当然の判断と言えそうだ。

 LINEは、台湾とタイで、メッセンジャーアプリとして広く使われている。

 一方で、ヤフーのブランドは、インターネットのごく初期から存在するものの、サービスとしては、日本以外の国では衰退した。

 LINEは、2020年にタイでLINE BKという銀行サービスを始め、2022年9月末にユーザー数が500万人を超えた。

 台湾のLINE Bankは2022年9月末で、約132万ユーザーに達している。

 アジアでの展開を視野に入れるなら、ヤフーという古いブランドは、極力前に出したくないというのが会社の本音ではないか。

LINE PayとPayPayの統合は難題

カテゴリートップへ

この連載の記事

週間ランキングTOP5

ASCII倶楽部会員によく見られてる記事はコレだ!

ASCII倶楽部の新着記事

会員専用動画の紹介も!