2017年4月11日、AMDのZenアーキテクチャーを使用したミドルレンジCPU「Ryzen 5」シリーズの発売が開始された。
11日は上位であるRyzen 5 1600Xおよび1600、中3日あけた15日に下位の1500Xおよび1400の流通が開始という変則的な出だしとなったが、11日は深夜販売にも関わらず秋葉原のショップに人が集まるなど、AMD製CPU販売イベントとしては3月のRyzen 7に次ぐ盛り上がりをみせた。
今回のRyzen 5も“同価格帯の競合CPUよりコア数が多くて速い”ことを売り文句にしている。まずはRyzen 5は7に比べるとどの程度の性能なのか? 競合するインテル製CPUに比べ速いのか? などをさまざまな角度から検証してみたい。
同価格帯ならインテル製よりコア数が多い
まずは、Ryzen 7と5(この後テストするものだけを抜粋)のスペックをチェックしてみよう。Ryzen 5のTDPは95Wと65Wだが、95Wなのは最上位の1600Xのみとなる。さらにRyzen 7 1800XとRyzen 5 1600Xのクロック設定は同じである点に注目だ。
なお、XFRはX付きでないCPUでも効くが、Xの付かないCPUでは“効きが悪い”という意味で△にしている。
Ryzenのスペック表 | ||||||
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型番 | Ryzen 7 1800X | Ryzen 7 1700 | Ryzen 5 1600X | Ryzen 5 1600 | Ryzen 5 1500X | Ryzen 5 1400 |
コア数/スレッド数 | 8/16 | 8/16 | 6/12 | 6/12 | 4/8 | 4/8 |
ベースクロック | 3.6GHz | 3GHz | 3.6GHz | 3.2GHz | 3.5GHz | 3.2GHz |
ブーストクロック | 4GHz | 3.7GHz | 4GHz | 3.6GHz | 3.7GHz | 3.4GHz |
XFR | ○ | △ | ○ | △ | ○ | △ |
2次キャッシュ | 4MB | 4MB | 3MB | 3MB | 2MB | 2MB |
3次キャッシュ | 16MB | 16MB | 16MB | 16MB | 16MB | 8MB |
TDP | 95W | 65W | 95W | 95W | 65W | 65W |
付属クーラー | なし | Wraith Spire | なし | Wraith Spire | Wraith Spire | Wraith Stealth |
実売価格 | 6万円前後 | 4万1000円前後 | 3万3000円前後 | 3万円前後 | 2万5000円前後 | 2万2000円前後 |
ポイントとなるのは先行発売されたRyzen 5 1600Xおよび1600が6コア12スレッド、15日より流通開始の1500Xと1400は4コア8スレッドとなっている部分だろう。これまでインテル製CPUで実売3万円前後といえば、4コア8スレッドの下位モデル、もしくは4コア4スレッドCPUしか選べず、6コア12スレッドCPUは予算が倍近く違ってくるX99プラットフォームにしかなかった。だが今回Ryzen 5の登場によって3万円台でも6コア12スレッド環境が手に入るようになった。
メモリーやXFRまわりの構成はRyzen 7と共通。そしてなによりうれしいのは全製品が倍率ロックフリーであるということ。インテル製CPUではごく一部の製品にしか許されないオーバークロックは、RyzenではどのCPUでも許されているというのはうれしいかぎりだ。ただオーバークロックするためにはX370マザーかB350マザーを使う必要がある。
Ryzen用に最適化された電源プラン
これまでAMDはRyzenのベンチにあたっては電源プランを“高パフォーマンス”にすることを推奨してきた。だが今回のテストでは、AMDがRyzen用に最適化した“Ryzen Balanced power plan”を使用している。
OS標準の“バランス”プランだと、CPUの動作ステート(クロックや電圧などに影響する)をアイドル状態から高パフォーマンス状態に切り替える際にわずかなタイムラグが生じるという。ワットパフォーマンスを向上させつつ、性能低下を最小減に押さえるのが“Ryzen Balanced power plan”なのだ。
この電源プランの導入は至極簡単だが、現在のところ英語オンリー。そこでここでは導入方法を簡単に解説する。ただし現状のところこの電源プランの導入は自己責任なのでそこだけは注意してもらいたい。