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最新パーツ性能チェック ― 第211回

ミドルクラスでもRyzenは無双できるか? 「Ryzen 5 1600X/1500X」レビュー

2017年04月11日 22時00分更新

文● 加藤勝明 編集●北村

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 AMDのZenアーキテクチャーを採用した初のCPU「Ryzen 7」シリーズが3月頭に発売されるや否や、これまでインテルほぼ一色だった自作PC(デスクトップPC)界隈が久々に大きな盛り上がりをみせた。

 Ryzen 7はライバルの約半分の価格で8コア16スレッド、全製品倍率ロックフリーを武器にしたが、性能も従来のAMD製CPUの常識(安いぶん性能は控えめ)を一気に覆した。

今回入手したRyzen 5 1600X(左)および1500X(右)

 そして本日4月11日、Ryzen 7の下位モデルとなる「Ryzen 5」シリーズの発売が封切られた。諸般の事情で4製品中「1600X」および「1600」の上位2モデルのみが11日解禁、残りの「1500X」および「1400」に関しては発売日が4月15日に延期されてしまったが、今回も競合するインテル製品よりも“安くてもコア数が多く高パフォーマンス”を武器にしている。

 今回はRyzen 5の評価キット(1600Xおよび1500X)を試用する機会に恵まれた。ハイエンドで自作PC市場を沸かせたRyzenは、ミドルレンジではどういった戦いを見せるのか? さまざまなベンチマークから検証してみたい。

パッケージはRyzen 7と同じ。右下の数字が5になっている

3万円台の物理6コアCPU

 Ryzen 5の基本的なスペックを下記にまとめてみた。Core i5を意識し、2万円~3万円レンジで展開される。なお、自動オーバークロック機能のXFRについて、AMDに問い合わせたところ「無印の1700/1600/1400でも動作はするが、X型番の1800X/1600X/1500Xよりクロックの伸び幅は小さい」とのことなので、表では△と記載している。

 動作クロックはRyzen 7とほぼ同じだが、キャッシュ搭載量に注目。1600Xおよび1600はRyzen 7より2次キャッシュが1MB少なく、さらに1500Xおよび1400はさらに1MB少ない。3次キャッシュ量は最下位の1400のみが8MBと少ない点に注意しよう。

Ryzenのスペック表
型番 Ryzen 7 1800X Ryzen 7 1700 Ryzen 5 1600X Ryzen 5 1600 Ryzen 5 1500X Ryzen 5 1400
コア数/スレッド数 8/16 8/16 6/12 6/12 4/8 4/8
ベースクロック 3.6GHz 3GHz 3.6GHz 3.2GHz 3.5GHz 3.2GHz
ブーストクロック 4GHz 3.7GHz 4GHz 3.6GHz 3.7GHz 3.4GHz
XFR
2次キャッシュ 4MB 4MB 3MB 3MB 2MB 2MB
3次キャッシュ 16MB 16MB 16MB 16MB 16MB 8MB
TDP 95W 65W 95W 95W 65W 65W
付属クーラー なし Wraith Spire なし Wraith Spire Wraith Spire Wraith Stealth
実売価格 6万円前後 4万1000円前後 3万3000円前後 3万円前後 2万5000円前後 2万2000円前後
「CPU-Z」で今回使用した1600Xおよび1500Xの情報をチェックしてみた

 RyzenはCPUコア4つを共有3次キャッシュで連結した“CPU COMPLEX”、いわゆる“CCX”がCPU構造の最小単位となっている。8コア16スレッドのRyzen 7はCCX2つで構成される。

 では6コアや4コアのRyzen 5はどうなるかというと、単純にCCX内のコアを無効化して、3+3にしたものがRyzen 5 1600/1600X、2+2にしたものがRyzen 5 1400/1500Xとして出荷されるようだ。

 2+4や1+3といった非対称的な構成がもたらす性能のブレは考慮しなくてよいということだ(CCXをまたぐとレイテンシー的には非常に不利になる)。4コア8スレッド版のRyzen 5のCCXが1基ではなく2+2構成なのかは謎だが、コスト的な意味合い(歩留まりという意味で)もあるのだろう。

Ryzenの構造における最小単位となるCCX。最大4基のコアを3次キャッシュで連結するというものだが、Ryzen 5のCCXはCPUコア3基ないし2基で構成される。3次キャッシュはCPU数に関係なくそのまま使う(ただし1400は例外)

 またXFRやメモリーまわりの仕様に関してもRyzen 7と共通だ。メモリーは1ランクモジュールが2枚ならDDR4-2666までサポート、2ランクモジュールが2枚ならDDR4-2400までと言うように徐々にクロックの上限が低下する。このあたりの仕様が不安なら、CPUとマザーとメモリーを同一のショップで購入すべきだろう。

検証環境は?

 今回の検証環境は、AMDより提供されたRyzen 5評価キットをベースにしたものだ。メモリーはDDR4-3200が同梱されており、マザー側でA-XMPを有効にして3200で動かすようレビュアーズガイドに記述してあった。

 しかし今回は同価格帯のインテル製CPUとの力比べがしたいため、メモリークロックははそれぞれのプラットフォームの定格に設定。すなわちAMD環境はDDR4-2666、インテル環境はDDR4-2400に設定している。電源プランは“高パフォーマンス”に統一している。

 また、今回のレビューでは比較対象となるインテル製CPUに、AMDから厳密な指定があった。Ryzen 5と同じ価格帯に属する「Core i5-7600K」および「Core i5-7500」が指定されていたが、筆者の予算の都合上「Core i5-7600K」しか調達できなかった点はお詫びしたい。

 また、今回はRyzen 7も評価に加えることで、上位モデルとの性能差もチェックしたい。定格3.6GHz&最大4GHzで並ぶRyzen 7 1800XとRyzen 5 1600Xの性能差がどう変わるかに注目だ。

AMDテスト環境
CPU Ryzen 5 1600X(3.6GHz、最大4GHz)
Ryzen 5 1500X(3.5GHz、最大3.7GHz)
Ryzen 7 1800X(3.6GHz、最大4GHz)
Ryzen 7 1700(3GHz、最大3.7GHz)
マザーボード MSI「B350 TOMAHAWK」(AMD B350、BIOS version 13)
メモリー G.Skill「GEX416GB3200C16OC」(DDR4-2666動作)
ビデオカード GeForce GTX 1080 Founders Edition
ストレージ Crucial「CT525MX300SSD1」(SSD、525GB)
電源ユニット オウルテック「AURUM PRO 850」(80PLUS Gold、850W)
CPUクーラー Wraith MAX
OS Windows 10 Pro 64bit(Creators Update build 1703)
インテルテスト環境
CPU Core i5-7600K(3.8GHz、最大4GHz)
マザーボード ASRock「Fatal1ty Z270 Gaming K6」(Intel Z270)
メモリー G.Skill「GEX416GB3200C16OC」(DDR4-2400動作)
CPUクーラー Thermalright Macho 120
  ※他の構成要素はAMD環境と共通
AMDの評価キットに付属したCPUクーラー「Wraith MAX」を組み合わせた。メモリーは光らせることができるが、今回は使用していない
バルク版のRyzen 7 1800X/1700Xにのみ付属する「Wraith MAX」(リテール版には付属しないのでわりと希少品)。リファレンスクーラーの最上位モデルだ。なお、Ryzen 5 1600と1500Xに付属するのはWraith Spire(Ryzen 5 1400はWraith Stealth)なので、Wraith MAXほどの冷却性能はない。そのため、ベンチマーク結果が若干良好になっている可能性は否めない

※お詫びと訂正:記事初出時、スペック表のTDP表記に一部誤りがありました。記事を訂正してお詫びします。(2017年4月11日)

※追記:AMDテスト環境に、BIOSののバージョンとOSのビルドを追記しました。(2017年4月17日)

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