メーカーからソリューション企業への展開
2つめは、個別の製品提案から、プラットフォームでの提案を行う企業へと進化してきたことだ。
PTCは、3次元CADの「Creo」で事業をスタート。その後、Windchillの買収により、PLM(製品ライフサイクル管理)のマーケットリーダーとして成長を遂げてきた。
さらに、2022年にCodeBeamerを買収したのに続き、2023年にはServiceMaxおよびpure-systemsを買収。PLMに留まらず、ALMおよびSLMまでをカバーし、製造業における製品ライフサイクル全体に貢献できるようになった。
これにより、これまでの個別製品の提案から、プラットフォームとしての提案が行える環境が整った。
PTCでは、これを「デジタルスレッド戦略」と呼び、PTCジャパンの神谷知信社長は、「製造業における製品ライフサイクル全体を網羅するソフトウェア製品群を揃えたことで、デジタルスレッド戦略を構成するループが完成した。これは、10年以上前から描いていたものであり、CADによる単一製品の提案ではなく、PLM、ALM、SLMを組み合わせたプラットフォームの提案ができる企業へと進化したともいえる」と語る。
デジタルスレッド戦略では、設計した情報を工場に流して、製造し、商品を顧客が長年に渡って利用し、その情報を受け取って、また設計部門に戻すというループを、ソリューションとして提供できる仕組みを構築。企画、設計、生産、運用、監視、サービス、情報といった流れをループとして循環させることになる。
そのループを構成するのが、CADの「Creo」、ALMの「CodeBeamer」、IoTソリューションの「ThingWorx」および「Kepware」、AR/VRの「Vuforia」、PLMの「Windchill」、SLMの「ServiceMax」などの製品群だ。
また、これらのデータは、生成AIにも活用され、すでに、生成AIによって最適な設計を行う「ジェネレーティブデザイン」の提案を開始。NASAが宇宙空間で利用する生命維持バックパックの設計に生成AIを活用したり、スノーモービルメーカーでは、構成部品の設計に生成AIを利用し、堅牢性と軽量化を両立したりといった事例が生まれている。
このように、設計、製造分野における「製品を、作って、売る」までに必要な情報を、「デジタルの糸」でつながる形で一元管理し、様々な情報が追跡しやすく、つながりあう状態が実現されることになる。担当者レベルから管理者まで、最新かつ最適なデータに、いつでも、素早くアクセスでき、設計品質、製造品質を向上させ、業務効率を向上させ、判断を迅速化することができるというわけだ。
PTCジャパンの神谷社長は、「設計や生産の現場の改善だけでなく、経営判断にも生かすことができるソリューションへと進化させることができた」と自信をみせる。
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