2021年11月10日、第二次岸田内閣が発足した。
その翌日、岸田文雄首相が開いたのは「デジタル田園都市国家構想実現会議」の初会合だった。
10月11日の本連載第148回でも取り上げたが、この構想は岸田首相が掲げる目玉政策のひとつだ。会議も、岸田首相自身が議長を務め、官房長官、デジタル大臣など、首相含め11人の大臣がメンバーに入っている。
これまで、政府として何を目指す政策なのかはっきり見えてこないところがあったが、最初の会合が開かれたことで、おぼろげながら輪郭が見えてきた。
一言で説明するなら、デジタル田園都市国家構想は、デジタル技術を使った地域おこしではないか。
岸田首相が示した5つの方針
岸田首相は初会合での発言の中で、5つの方針を示している。いまのところ、この5点に、構想のエッセンスが凝縮されていると考えるのが自然だろう。
- 自治体クラウド、5G、データセンターなどのデジタル基盤の整備
- 遠隔医療、教育、防災、リモートワークなど地方の先導的なデジタル化の取り組みを支援
- デジタル田園都市国家構想推進交付金を新設
- デジタル臨調、GIGAスクール、スーパーシティ構想、スマート農業の成果の活用
- デジタル推進委員を全国に展開
けっこう、耳慣れない言葉が多いのではないか。少し丁寧に確認しておく必要がある。
まず、目につくのは3番目の「デジタル田園都市国家推進交付金」だ。11日付の日経新聞によれば、11月19日に策定する経済対策に盛り込むという。
この経済対策は30兆円を超える規模になると見られているが、交付金の規模については、現時点では不明だ。
ただ、地方とデジタルをキーワードとした、大規模の交付金が示される可能性は高いと予想する。
次に1番目の「自治体クラウド」だ。この取り組みそのものは以前から存在する。
現状の地方自治体は、人口の少ない小規模の町や村であっても、庁舎内に情報システムを保有している。
役場内に1人だけ情報システム担当がいる「1人情シス」状態の自治体は少なくない。この人が休みの日に、システムにトラブルが起きると手も足も出ないという事態が起きうる。
こうした現状に対応して、自治体の情報システムをクラウド化し、庁舎の外に出す。そうすることで、コスト削減や業務の自動化、自治体間や国と地方間の情報共有などが進めやすくなるという構想だ。
自治体クラウドは、岸田首相が最初に挙げているだけに、当面の主要政策になると考えられる。
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