日本から学んだことを鴻海のスピード感で成し遂げた
戴氏は、就任初日の社員向けメッセージのなかで、「構造改革や鴻海グループとの連携が進むなかで、皆さんは大きな変化に直面し、戸惑いや不安を感じているかもしれない。しかしそれらの変化はすべて、1日も早く黒字化するためであり、再生を果たして喜びをともに分かち合うためでもある」とし、痛みを伴う構造改革や各種施策を実施する姿勢を見せていたが、その言葉通りの構造改革を実施。早期の黒字化につなげてみせた。
2021年8月12日には、5年の節目を迎えるにあたって、社員に対するメッセージを発信したが、そのなかで戴会長兼CEOは、「シャープはこの5年間、西田辺の本社ビル買戻しに始まり、事業変革による事業の質の向上、日本・ASEAN・中国・欧州・米州の5地域を中心としたグローバル事業拡大、抜本的構造改革によるコスト構造の改善、ブランド企業としての事業推進体制の構築、きめ細かな経営管理の浸透、社員一人ひとりのマインドの向上など、様々な観点から大きく様変わりし、この結果、東証一部復帰や業績の大幅改善を果たすことができた」とし、「これもひとえに社員の皆さんが、この5年間、シャープの次の100年に向けて懸命に努力し続けてくれたお陰である。心から感謝する。本当にありがとうございます」と述べている。
シャープの再建は、戴氏ならではの手腕によるものが大きいが、戴氏自らは、これを「戴流」と呼ぶことを否定する。
「鴻海流の挑戦する風土やスピード感に加えて、私がかつて日本に駐在し、日本人の上司から学んだこと、そして、シャープの創業者である早川徳次氏の経営の考え方も生かしている。鴻海流、日本流、早川流のミックスだといえる」とし、「戴流というのはない。私の経営はまだまだ。勉強しなくてはならないことがたくさんある」と謙遜する。常に進化を続ける経営がいまでも続いている。
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