オートノマスサプライチェーン
Blue Yonderは、1985年に設立した。買収を繰り返しながら、35年間にわたってサプライチェーンに特化したビジネスを推進してきた。現在、76カ国で、3000社に導入。製造業ではトップ100社のうち48社が導入。物流業では上位10社中9社、小売業では100社中65社が導入しているという。
ガートナーのマジッククアドラントでは、倉庫管理システム、輸配送管理システム、サプライチェーン計画の3つの領域でリーダーに位置づけられており、400件以上の特許を保有。AIおよびMLのエンジニアが100人以上在籍している。
Blue Yonder が展開するSCMソリューションは、企業経営を左右するソリューションとして、重要性がさらに増しており、SCMソフトウェアの市場規模は、2020年に180億ドルだったものが、2024年には280億ドルへと拡大。年平均成長率は12%という高い成長が見込まれているという。
Blue Yonderの中核となるソリューションは、「Luminateプラットフォーム」だ。AIを利用して、需要や供給、リソースの運用オペレーションの自動化を行い、業務をリアルタイムで予測して、即応できるように支援する。これにより、輸送の削減、過剰在庫や欠品の撲滅、納期遵守率の向上などが可能だ。また、サプライチェーンの混乱が予想される場合には、事前にアラートを発信。コロナ禍による様々な影響や、先頃のスエズ運河でのコンテナ運搬船の座礁といったサプライチェーンに影響を及ぼす状況を予測に反映。経営環境の変化にも柔軟に対応も図ることができる。
パナソニックは、2018年2月からBlue Yonderとの協業を開始し、2019年1月に、正式に提携を発表。同年11月には、日本市場における提携強化のために、49%を出資して、Blue Yonder パナソニックビジネスソリューションズを設立。2020年7月には、Blue Yonder本体に約8億ドルを投じて、20%を出資していた。また、パナソニックでは、レッツノートの生産を行う同社神戸工場で、Blue Yonderを導入しており、業務プロセスや調達プロセスの改革に成功。ROIでも効果が生まれているという。
パナソニック コネクティッドソリューションズ社の樋口泰行社長は、「私自らがBlue Yonderの取締役の一人として経営に参画し、理解を深め、相手のことを十分にわかった上で、今回の100%出資を決定した。シナジーを生み出すには、人と人の親和性も重要であり、その点でもベストマッチであると考えた」とする。
パナソニックとBlue Yonderの統合により目指すのは、「オートノマスサプライチェーン」の実現だ。サプライチェーンの上流から下流までをカバーして、現場のエッジデバイスやセンサーが、ソフトウェアで結ばれ、自律的に連携を行い、課題への対応を図る。
「クルマの自動運転のように、サプライチェーンが自律的に最適化され、オペレーションが自動化される状況を指す」という。たとえば、小売店の需要変動や在庫状況と、食品メーカーの製造、仕入状況が自律的に連携することで、サプライチェーン全体を最適化。経営効率を高めるほか、食品廃棄ロスを大きく減少できたり、作業の削減につなげることで、人手不足の課題も解決できる世界を目指す。
楠見CEOは、「両社の融合で目指すのは、あらゆるサプライチェーンの現場から自律的に無駄や滞留が省かれ、かつ継続的に改善のサイクルが回っていく世界」とする。
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